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デザインから事業価値を最大化させるために 〜ホラクラシー組織での取り組み〜

こんにちは、Ubie株式会社 / Ubie Discovery でデザイナーをやっている吉井 (@hrtk441) です。最近は移住についてガチで考えていて、色んな情報を見ながらそわそわしています。

仕事のほうでは早いものでUbieに入社して1年が経とうとしていて、それなりに目まぐるしいながらも日々楽しく過ごしています。
入社以降たくさんの仕事にデザイナーとして関わってきましたが、今回はタイトルの通りUbieにおける「デザインから事業価値を最大化させる取り組み」について書いてみたいと思います。

序: デザイナーが発揮できる価値とは

はじめに、これは僕個人の考えではありますが、デザイナーが発揮できる価値は大きく分けるとこの3つにあると思っています。

1. 事業における価値
2. 会社・組織運営における価値
3. デザインにおける価値

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事業における価値 は、プロダクトや担当しているプロジェクトの成果を最大化するために発揮されるものです。
所属チームで何かのデザインを依頼されることもあると思いますが、目標達成のため自ら課題を発見しにいって新たな価値を生み出していく、みたいなことがとても大事だと思います。
会社によって関わり方の幅や文化に差はあれど、おそらく最も求められる形ではないでしょうか。

Ubie の事例については、先日行われたイベントの書き起こしなどもご参照いただけると嬉しいです。

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次に 会社・組織運営における価値 はその名の通りで、チームビルディングであったり、そのための採用や育成もあると思います。ナレッジの共有など、組織的なデザインレベルの向上も入ってくるでしょう。
Ubie Discovery に関して言えばホラクラシー組織で全員が一丸となって採用や組織づくりに取り組んでいるので、必然的にここのコミット具合が高まる感じがしています。(ホラクラシーについての詳細は下記)

また、チーム外からデザインに関する困りごとの相談を受けて対応していくような活動もこの部類に入ると思います。 (下記で触れている「#help-design」のような感じ)

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最後に、デザインにおける価値は、全社横断的なデザイン課題を先取的に解決していくことを指しています。

「デザイン」とだけ書くと無限に議論できそうな気がしますが、誤解をおそれずに言えば表層に関することだけでなく、デザイナー主体でプロジェクトを発足・推進したり、仕組みや文化を作ったり、全社的なデザインの方向性を示したり、といったイメージです。
少し極端に書くとデザイナーだからこそ見つけられる課題があると思うし、デザイナーだからこそ主体的にリードしなければならない部分だとも考えています。

僕としてはこういった分類で考えているものの、もちろん互いに独立的な存在ではなく、あらゆる営みは事業成長に帰結するべきものだと思います。ただ個人的には、この3つの視点のバランスが大事かなあと考えることが多いです。

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前置きが長くなりましたが、今回はこの「デザインにおける価値」を事業成長のため最大限発揮していくために、Ubie Discovery のホラクラシー上での取り組みを記してみます。

「デザインによる価値最大化サークル」の立ち上げ

いきなりド直球ですが、Ubie Discovery のホラクラシー組織には、名は体を表すと言わんばかりの「デザインによる価値最大化 (通称: デザ価値) 」というサークル (※) があります。

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※ サークルとは: 
ホラクラシー上における部門みたいなもので、組織上担うべき目的単位で組成されます。(一般的な組織で言う◯◯本部、◯◯事業部みたいなイメージが近いかもしれませんが、部署ではないので部長とかはいません)

それまで横断的なデザイン機構がなかったので、デザ価値は3ヶ月前ぐらいに新たに誕生させました。現在はプロダクトデザイナーを中心に、さまざまな取り組みを行っています。(詳細は後述します)

ここで少しだけホラクラシーの説明を先にしておくと、上記の「こういう機構がない」のような組織・事業運営における課題感は「ひずみ」と呼ばれています。
「ひずみ」を感じたら、その本人が誰かに情報や行動を求めたり、場合によっては組織構造 (= ガバナンス と言っています) の変更提案を行うことが可能です。ホラクラシー組織に属する全員の権限として保障されていて、最も重要な原理原則としてこのように規定されています。

 ー あなたには、あなたが感じたひずみを解消する責任と、
そうするだけの権限がある

ちなみに、ひずみにはいろいろな種類があって、基本的にいずれかに分類されたうえでそれぞれのフレームに沿って解消に動いていきます。

ひずみの種類

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今回もこのひずみから組織構造の変更を提案して、デザ価値を立ち上げました。全社には他にもサークル (下図のうすいブルーの円) がいっぱい存在していて、そのなかの一つがデザ価値といった形です。

組織構造の変更...というとやや大げさに聞こえますが、ひずみから始まる一定の条件とステップさえ満たしていれば、かなり柔軟にガバナンスを変えていけるのがホラクラシーの良いところのひとつだと感じています。

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立ち上げた背景

「ひずみ」について話したついでに、立ち上げた背景もかんたんに説明してみます。 (読み飛ばしてもらっても大丈夫です)

先ほどの図の全社ホラクラシー構造は、全社の事業OKRをベースに構成された形になっていて、各サークル内で事業目標を追うチームが組まれています。また前述の通りこのなかには人事・部署・役職が一切ないので、Ubie Discovery では本当に全員がこのホラクラシーの組織運営に当事者として関わっています。
なので冒頭に書いた「事業における価値」「会社・組織運営における価値」はすでに大いに発揮できうる土壌がありました。

一方で、僕が入社したタイミングでデザイナーも増えてきたり、会社全体としてもどんどん人が増えてきていました。それと同時に新しい事業・チームが作られることも多かったのですが、各所で起こる横断的なデザインのイシューを扱えるサークルが存在していないと感じたのが、僕の「ひずみ」です。

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分かりやすく書くとホラクラシーでは「ひずみを持っている人がえらい 」という共通思想があります。
そのため個々人の「ひずみ」は常に尊重して扱われ、周囲のサポートも得ながら漸次的に解消されていくフレームワークのようなものも備わっていたりします。

そういったプロセスを経てデザ価値を立ち上げたわけですが、好き勝手に権利が暴走しないよう、ホラクラシーには他にもたくさんルールのようなものがあります。( 全員が守るべき「憲法」として規定されています)
最初は難しく感じるところもありましたが、慣れてくるとよくできた仕組みだなあと感じることも多いです。

デザ価値で取り組んでいること

ここまでが長くなりました。
いま現在、デザインによる価値最大化サークルでは主に以下3つのことに取り組んでいます。

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1. アクセシビリティ推進
アクセシビリティに関する課題を取り扱っています。対応できていないところの改善をはじめとし、継続的な開発にスムーズに落とし込める仕組み化、社内外への啓蒙・発信を行っています。
取り組みの背景や実例には、こちらの記事が詳しいです。

2. プロダクト改善
事業フォーカス上は優先度が劣後してしまうものの、ユーザー体験上無視することのできない課題の解決を取り扱っています。
また「こういうアイディアを検証してみたい」を軸に、創発的なプロトタイプを作ってみることも視野に入れています。
直近では、医療機関向けタブレットのUI改善に取り組んでいます。

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3. デザイン基盤の構築
デザインの属人性を避け、全社横断的なデザイン生産基盤を整える取り組みを行っています。
人が増えてくるなかでも全社として最大スピードを出しながら、効率的に一貫性のあるプロダクトが開発できる状態を作っていくことを目指しています。

2、3 についてはもう少しお伝えできるネタができてきたら改めて記事を書きたいと思います。

「ロール」を割り当てて推進する

これらそれぞれに対して推進担当 (ホラクラシー上では「ロール」という言い方をします) を割り振り、独自でOKRを立て、達成に向けていま何をやるべきかをメンバーで話し合いながら決めていっています。

ロールの例

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また他にも、ワークフローの整理、デザインツールの整備運用などの話題も横断テーマとして取り扱っています。
本来であればマネージャーや詳しい誰かが暗黙的にやっているような様々な仕事を、サークルのなかの「ロール」として切り出して明示することで各メンバーで分散して取り組んでいるといった形です。

ちなみに、デザ価値という名前なのでデザイナー中心ではありますが、開発が必要なところはエンジニアに、医療機関など外部顧客にも影響があるところはBizのメンバーにも入ってもらっていたりと、基本的にホラクラシーではロールの出入りは誰でも自由です。「やりたい」「課題を解決したい」という気持ちが重視されます。

e.g. Bizメンバーからの参戦表明

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さらに最近では学生アルバイトや副業の方にも取り組みに参加してもらったりと、プロジェクト推進のために社外からの力を借りることも増えてきました。社内ではリソースがまかなえなかったり専門的知識を補ってほしいところなど、いろいろなサポートに感謝しきりです🙏

おわり

デザ価値での取り組みは、どれもまだ始まったばかりです。
粘り強さが求められることも多く、まだあまり目に見える成果として披露できるものがないのも正直なところ...
ひとつひとつのことを着実に進めていき、全体として大きな成果に結びつけていけるよう頑張っていきたいと思っています。

一方でまた、冒頭にも書いた通りこれだけをやっていればいいわけではありません。数多あるプロジェクトへのコミットや、組織運営といった様々な視点のバランス、そのなかで自分がどこに力点を置くかの見極めが大事です。

Ubie にはまだまだやること・やりたいこと・やらなくてはならないことがモリモリあります。どの職種の方でも、ご興味あれば是非お気軽にお声がけください。お待ちしています!

Ubie Discovery 採用サイト
僕が出しているMeety

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