漫画BASARAを読んで

まとまりのない長文になります。

こちら、X(Twitter)で付き合いのある方に「人生のバイブル」とオススメされ、気になり電子で購入しました。
考え方等尊敬する部分の多い方で、その方が人生のバイブルと言われたので、気付いたら検索して購入ボタンを押してました。

さて本題に入りまして。
全体の感想としては、「ファンタジー少女漫画を装った社会科学の本」みたいなものを感じました。
人々の集団心理や異常時のメンタルの不安定さ、何かに縋ろうとする弱さ、視野が狭くなったときの危うさ、そういったものが上手く表現されているなと感じました。

設定は、20世紀末に世界文明が一度潰れて、「タタラ」という名を語った少女のもと、人々が集まりもう一度立て直すといった内容です。舞台は日本。地名や登場人物も日本の名前だったり、地名に因んだ名前です。
救世主もしくは革命家と呼ばれる「タタラ」もたたら製鉄からとったものと思われます。刀がキーとなっている辺りからもおそらくそうかと思われます。
因みに「タタラ」は本来男の子で、主人公はタタラの双子の妹の更紗。タタラが赤の王の軍に首をはねられ、急遽更紗がタタラの代わりとなって闘います。

キャラクターも多く(近年の有名漫画でいうとキングダムやゴールデンカムイに近いです)、ただそれぞれのキャラクターがどれも味があり魅力的に描かれているのが、作者の力量の素晴らしさを物語っております。

少女漫画らしく、主人公更紗の横に誰かしら男前な男女が守ってくれています。ただ、守ってくれるだけでなく、時に諌めてくれたり、そんな大人達の中で子供である主人公が成長していく様が見られます。

四本の刀が揃った時、革命が起こる、という言い伝えもファンタジー要素満載ですが、ただ揃えるのではなく、それぞれの持ち主と打ち解けあい、力を合わせる、というリアリティもありますし、四本のうちの一本は竹刀(人を斬らないという戒めの刀)であったり、ただのファンタジーに終わらない、よく考えられた設定なのもこの漫画の魅力の一つです。(なお、主人公の更紗はこの四つの刀のうち、白虎を引き継いでいます。)

勧善懲悪モノでもなく、知らず知らずのうちに更紗が惹かれていた男性(朱里)が実は仇の赤の王であったり、更紗の母も我が子タタラを殺し、更に自分を連れ去った人に惹かれ合ったり、割り切れないものを描いている部分もリアリティがあります。
最後、敵同士の更紗と朱里が抱き合う中、どちらの仲間もこれまでの二人に救われた部分、責任を負ってもらった部分が多いからか、まともに矢を討てず、それぞれ二人の王と革命家という肩書きをはずして解放するシーンが印象的でした。

ここから個人的に印象に残っているキャラを何名か紹介します。

まず、最初から主人公の更紗と共にする角じいとナギ。角じいは更紗の保護者的存在でもありながら、終盤では朱里討伐に人一倍熱を入れており、更紗に革命家としての期待をかなり背負わせていたのだと感じました。
ナギは盲目の預言者兼医師とのことですが、その出自は謎に包まれています。おそらく亡くなったとされる王家の人間、朱里や後に出てくる浅葱の異母兄弟かとも思われます。(番外編で匂わせあり)

次に主人公の仇兼恋人の朱里ですが、ワンマンかつ粗暴でありながら、自分の配下の街の反映を考えており、立場が違えば、良き為政者にも見えます。
粗暴でワンマンだった彼も、家来の謀反により都を追われ、再起を狙う間に自身の考えを改め、成長していきます。
23巻の彼のセリフは名言だと思います。

そして、揚羽。序盤に片目を犠牲にしながら朱里から更紗扮するタタラを守ります。旅する一座に所属しあちこち移動しながらも常に更紗の事を気にかけてくれます。この方は感の鋭い方だと思う。

そして、朱里の義兄で(本来の)蒼の王浅葱。狡猾さを見せつつも、主人公に絆されながら、大局を見据えて自分の役目を淡々とこなす様もかっこいいです。個人的に初期の浅葱には恐怖しかなかったのですが、最後の活躍ですっかりファンになりました。この方は本当に賢い、ただ生い立ちのせいか、メンタルが幼い構ってちゃん。

隼人:四つの刀のうち、九州に存在する朱雀の使い手の末裔。四つの刀を受け継ぐ民の中では一番おぼこくてまっすぐな少年のイメージ。なので、時々ハラハラしちゃう。

茶々と座木:九州を拠点とする海賊の女頭領の茶々とその伴侶の座木。本来海賊の女頭領は認められなかったのですが、茶々は血のにじむような鍛錬で実力をつけて、その座を勝ち取ります。そんな茶々を尊重し、支える座木が素敵です。更紗の母を見てからは、更紗の姉的存在として彼女を支え、守ろうとする姿がかっこいい。

雷蔵:四つの刀のうち、関東に存在する青龍の使い手の末裔。ライオンのたてがみのような金髪の方。偽の蒼の王の暴走に従ったふりをしながら囚人や奴隷を匿う芸当をやってのけた頼もしい方。浅葱と関東にいるときがあったけども、本当にこの二人うまくやってのけたのか、謎。

那智と聖:神仏習合の総本山とされる熊野古道に住んでいる神官の息子、那智と武官?の息子の聖。単純で豪快な那智と冷静で知能派の聖は名コンビだと思ってます。ちなみに私は聖のファンでもあります。

多聞:四つの刀のうち、東北に存在する玄武の使い手。玄武は戒めの刀とする竹刀で、その使い手の通り、どんな状況下でも落ち着いていて、自分のペースを崩しません。17巻ではその落ち着きでもって、更紗の暴走を抑えてくれています。この方も個人的に好きです。

太郎:京都の瓦版屋の兄ちゃん。ジャーナリストの鑑のような人。我が国のジャーナリストもこんな方ばかりだったらなあと思ったりもします(笑)

他にもいろんなキャラ紹介したいけども、もっといろいろ感じたことはあるけども、力尽きました…今日はここまで。また続き書くかもしれません。

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