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電子メールからSNSを経て再び電子メールの時代になるの?

 FacebookやTwitterなどのSNSがメディアに取り上げられるとき、数年前はこれからの必須・流行ウェブサービスとして脚光を浴びていましたが、現在では個人情報の流出、フェイクニュースの発信源、人間関係悪化の原因などと批判を浴びることの方が多くなってきたように感じます。

 そうした中で、ウォールストリートジャーナルにこんな記事が載っていました。

Eメール人気再燃か、古くて新しい情報発信手段
https://jp.wsj.com/articles/SB10710854813622363988504585074970411822824

 SNSの流行とともに、終わりつつある通信手段のように扱われてきた電子メールが見直されている、という内容です。
 SNSと比べて、
・密接につながれる
・広告がない
・メール配信をすぐに止められる
といったメリットがあるという主張ですが、なんか変な感じというかモヤモヤした気持ちがあります。というのは、そもそもかつて電子メールが否定されてSNSがもてはやされたときの理由が、
 電子メールと比べて、
・密接につながれる
・スパムメールがない
・フォローを外せばつながりを断てる
といったメリットが喧伝されていたからです。まさに、いま電子メールを再評価しているのとほぼ同じ理由でSNSを賞賛していたのですから、どっちやねん! という気持ちがわいてきます。

 ただ、一つ大きく異なるのが、電子メールの規格や運用自体は特定の一つの企業によるものではなく、無数の企業、無数のサーバ、無数のルータなどを通して世界中で運用されています。その点は各種SNSとは違います。SNSの場合、その企業のサーバが攻撃されてダウンして利用出来なくなったり、個人情報が流出する可能性があります。あるいは、そのSNS運営企業自体が意図して個人情報を流用・悪用することもありえます。電子メールの場合はメールアドレスそのもの以外にはなんら個人情報は附帯せず、メールアドレスとパスワードが流出しても変更すればいいだけというメリットは確実に存在します。

 電子メールの問題点としては、上記記事の中にも書かれていますが、電子メールの基本的技術自体は非常に古く、20世紀後半の初めの方に決められた規格が基になっていて、その後にHTMLメールとか開封通知とか暗号化技術が付与されましたが、大まかな仕組みは変わっていません。なので、リッチコンテンツの扱いが不十分で、悪意あるトラッキング防止が出来ない、といったことは確かでしょう。

 結局のところ
「これからはSNSの時代だ! 電子メールなんて古くさい!」
とか
「やっぱり電子メールだ! SNSなんて止めちまえ!」
といった、極端な考えの間を行ったり来たりすること自体が弊害が大きいと思います。電子メールもSNSも一長一短あるのだから、どちらかにオールインするのではなく、状況と中身と相手に応じて使い分けすれば良いだけだと思います。

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