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差別主義者の術中にはまるヘイト批判

事実は小説よりも奇なり、という言葉は既に使い古されすぎていてわざわざ使う気にもなれないのですが、ネット上の悪ノリが現実に悪影響を与えるケースを見ると、フィクション的な悪意を真に受けて反応してしまう現実社会はどうなのだろうと思ってしまいます。

「OK」のサインは白人至上主義のシンボルになったので、一般の方はご注意下さい
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/09/ok-13.php
反差別を掲げるユダヤ系団体、名誉毀損防止連盟(ADL)は、親指と人差し指で輪をつくる「OK」のサインを「ヘイト(憎悪)のシンボル」としてデータベースに追加した。
(中略)
「OKサイン」がヘイトのシンボルとなったきっかけは、ネット上の匿名掲示板「4Chan」でオルタナ右翼たちが悪ノリで始めたキャンペーンだった。
彼らは2017年に同掲示板で「オペレーションO-KKK」を立ち上げた。リベラル派やメディアに、ドナルド・トランプ大統領もよく演説中に使うこのOKサインが白人至上主義の「秘密の合図」だと思い込ませたのだ。親指と人差し指で輪をつくって残り3本の指を立てると「ホワイト・パワー」を意味する「WP」の文字に見えるから、白人至上主義者を自称するジェスチャーだという訳だ。

こんなことで騒ぐのか、とユダヤ人ではない私は思ってしまいますが、迫害の歴史を持つ当のユダヤ人にとっては重要なことなのかも知れません。しかし、悪意無くOKサインを出しただけで批判されるというのも可哀想な話です。

昔からあるサインやジェスチャーが、ネット上の悪ノリや悪意によって普通に使えなくなってしまう、というのはもちろん最初に仕掛けた人間が悪いのですが、それに反応して使用者に非難を浴びせてしまうとしたら、いずれは何も出来なくなるのではないでしょうか。

大げさな例ですが、例えば星条旗のバッジを右胸に付けるのを差別主義者がサイン化したら星条旗を禁止するのでしょうか。差別主義者同士が左手で握手することを習慣としたら、左手で握手する人間全てを差別主義者と見なすのでしょうか。

結局これではヘイトを仕掛ける差別主義者が結局影響力があることを認めてしまうことになります。個人的にはこれもポリティカルコレクトネスの行き過ぎではないかと思うのですが、こういう批判自体も差別だと非難されるとしたら、世の中にはポリティカルコレクトネスを掲げて他者を非難する人と、ポリティカルコレクトネスをガン無視してヘイトクライムをしまくる差別主義者の2種類の人間しかいなくなってしまいます。

そしてそれは差別主義者にとって望む世界でしょうし、大半の人にとっては悪夢のような世界のはずです。私には、批判すべき対象を間違っているような気がしてなりません。

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