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報道の自由と大学の自治

旭川医科大学で北海道新聞記者が逮捕された問題は、報道の自由を巡る問題になっています。この逮捕に反対・抗議している人は不当逮捕だと憤っていますし、逮捕に賛同している人は不法侵入なのだから正当な逮捕と見なしています。

結局これも事件を巡る問題と言うよりも、問題を元にして反権力と反マスコミがそれぞれのクラスタで騒いでいるようにも思えます。

私自身は、こういう感じの、入るなと言われている場所に密かに侵入して特ダネを取ってくる取材手法もアリだとは思います。実際にそうやって出来たスクープも過去にいくらでもあるでしょうし、そのスクープによって巨悪が暴かれるケースもたくさんあったはずです。

そもそも脛に傷を持つというか、ヤバいことをしている側がマスコミに取材されたくなくて拒否するのは当たり前です。それを素直に受け入れていたら取材もニュースもメディアも成立しません。

多分、これまでのそういったスクープの場合でも捕まった記者もいるでしょうし、捕まらずに上手くやったケースの方がはるかに多いでしょうから、今回の記者がただ単に下手くそだったとも言えます。

ただ、今回の逮捕が不当な権力の行使なのかどうかは私には分かりません。まさか新聞記者は、日本中・世界中のあらゆる場所に無許可で入って逮捕されない権利を持っているというわけでもないでしょう。

とは言っても、逮捕までしないといけなかったのかという疑問はあります。出ていけと言われても記者が出ていかずにどうしようも無かったのか。

結局事件の詳細が分からないので何とも言えない部分が大きすぎます。

正当か、不当か。少なくとも、記者本人や北海道新聞社が不当逮捕だと訴えているならマスコミ業界が団結して訴えるということは分かりますが、まだその段階でもないと思うのですが。

後は大学の自治・自由の問題にも関わってきます。戦前戦後を通じて、大学に対する権力の行使は大学の自治を脅かすものとして批判されてきました。

大学内に警察が入ることは不当とされて、大学内にマスコミが入ることは正当とされるというのは無理があります。警察と報道は違う、という理屈もあるでしょうけれど、侵入される側としては大差ない気がします。

大学の自治と報道されない権利というのは両立出来ないものでしょうか?

ただし、今回の旭川医科大学はそもそも大揉めの学内でしたから、取材は正当だと取材する側としては言えるのでしょうけれど、そうなると大学の自治や報道の正当性はマスメディア側のみに決定権があることになってしまいます。

取材の正当性は誰が決めるのか。

今回の事件も、正当なのか不当なのかを決めるのは、法的には結局裁判次第ということになりますが、その裁判に関する取材で、是非マスメディアの人たちには侵入しては行けない場所に侵入してみてほしいですね。

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