職業の倫理性と個人の倫理観を同一視は出来ない

事件や事故、犯罪や不祥事などの報道で、その加害者・当事者に関して職業や勤め先が言及されることもあればされないこともあります。

あれの基準が私には全く分からないのですが、それはともかく、
「そんな仕事をしている人がそんな事件を起こすことなんてあり得ない!」
という非難はよく目にします。

別にどんな仕事をしていても悪いことや犯罪をしたらアカンことには変わりないと思うのですが、公務員とか、教師とか、スポーツ選手とか、なぜか職業と犯罪を絡めて非難されます。

職業そのものに倫理観・倫理性が求められるということは確かにあります。ただ、それはその職業における業務内において、こうあるべきという理屈であって、そもそも法律上の犯罪行為などはどんな職業であっても、あってはならないことです。

むしろ、どんな職業なら悪いことをしても「仕方ないか」で済まされるのかと言いたいところです。

職業選択の自由という条文を引き出してこなくても、誰でもどんな職業にも就けるのは当然ですが、その仕事をしていく上で一般的な倫理観や遵法意識を常にチェックされるようなこともないでしょう。それは仕事と直接関わりが無いものであり、どんな仕事をしていても守るべきものですから、倫理的・法律的に悪事を働いた場合に非難されるべきはその人自身の人間性です。

もちろん、全ての職業においてそのような一般倫理がどこでも同じレベルだとは思いません。高い低いは多分あるでしょうけれど、倫理性の高い?職業についている人が悪事を働いた場合に非難する際の言葉は、
「その仕事に就いているのにそんな悪事を働くなんて」
ではなくて、
「そんな悪事を働くなんて」
だけで良いのではないでしょうか?

「その仕事に〜〜」という言葉が付かない場合は、そんな仕事をしている人が悪事を働くのはそんなに珍しくない、という考えがにじみ出ているような気がするのですが、うがった見方でしょうかね。

職業に貴賎無しという言葉は今も昔もただの標語であって現実には反映されていないのだろうな、と思ってしまいます。

そう言えば、少し前にも、某ウェブページで「底辺の仕事ランキング」という炎上案件のお手本のような事例がありましたが、職業に上下関係がピラミッドを持ち込むのは、おそらく無意識的に誰でもやっていかねないことなんでしょう。

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