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チャンピオンとウィナーの違いを知っているか

「チャンピオンとウィナーの違いを知っているか」

いつだったか忘れましたが、ある年のJリーグヤマザキナビスコカップのチラシの煽り文句で、こんなのがありました。検索してみたら2006年のものでした。この年のナビスコカップは、シーズン中にオシム監督が日本代表監督になって監督が替わった(ただし息子が後を継ぎましたが)ジェフ千葉が2連覇を果たしました。

他のスポーツではどうかは知りませんが、サッカーの世界では1年かけて戦うリーグ戦の優勝チームは「チャンピオン」、ノックアウト方式(トーナメント戦)で山を勝ち上がる仕組みのカップ戦の決勝で勝ったチームは「ウィナー」と呼ばれます。

語源をたどると、「ウィナー」は「勝つ」という動詞の「win」から来ているのは一目瞭然ですが、「チャンピオン(champion)」は、ラテン語の平らな地面を表す「campus」(キャンパスのことですね)からアスレチック練習・軍事訓練において使用され、そこから古フランス語・中世ラテン語の「campio」(戦う人)という言葉を経由してきたそうです。

「win」の方は、古英語の「winnan」(努力する、争う)、ゲルマン語起源の(征服する、所有する、獲得する)が語源だそうです。今の英語でも同じですが、「win」には「勝つ」という意味と共に、「得る」「勝ち取る」という意味も含まれます。

「チャンピオン」の方が競技に関して良く戦った人、という意味合いがあって、「ウィナー」には優勝カップを勝ち取った人、と考えた方が良さそうです。

日本語の「優勝(者・チーム)」は他者に優って勝つということなら「チャンピオン」の方が近いですね。「ウィナー」に近い日本語は、上述の「勝ち取る」方でしょう。

ともかく、リーグ戦はチャンピオン、カップ戦はウィナーになるのですが、チャンピオンズリーグはどうなるかというと、これは「リーグ」と名乗っていてもカップ戦扱いですので、結局はウィナーになるはずです。

UEFAチャンピオンズリーグにしろ、AFCチャンピオンズリーグにしろ、グループリーグがあって(その前にはプレーオフもありますが)、ノックアウトステージになって最終的に決勝戦が存在しますので、紛れもなくカップ戦です。

2021年のACL(AFCチャンピオンズリーグ)は久し振りにガンバ大阪が参戦します。かつては毎年出ていて、出ていない方が珍しかったのですが、隔世の感がありますね。初出場は2006年でしたが、以後、2008年〜2012年、2015年〜2017年と連続で出ていました。

罰ゲームとか迷惑とか言うサポーターもたまに見かけますが、個人的には非常に勝ってほしい大会です。2008年決勝第1戦、平日水曜ながらもほぼ満員の万博スタジアムで、相手(アデレード・ユナイテッド)がボールを失ってガンバのスローインになっただけでも拍手が起きて後押ししていた、あの興奮は未だに忘れられません。

再度の参戦となった2015年では全北現代との準々決勝、ホームでの第2戦では後半44分に追いつかれた後のアディショナルタイムでの米倉の勝ち越しゴールも、現地で見た人は多分一生忘れないでしょう。

リーグ戦だっていくらでも印象深い試合は挙げられますが、カップ戦の高揚感は独特ですし、さらに国際試合となるとさらなる緊張感がプラスされます。

コロナ禍の混乱で昨年に引き続き今年もドタバタなスケジュールとなったACLですが、オーストラリア勢が出場を辞退したためにさらにややこしくなりました。

そもそも今のガンバにJ1残留以外のミッションを優先する余裕はありませんが、逆に集中開催になったことで気持ちを切り替えて上手く行くかも知れないと、あまり根拠のない希望を持ってしまいます。

今のチーム状況を考えると、リーグ戦でチャンピオンになるのは相当厳しいというか、川崎フロンターレの栄華がまだまだ続きそうですが、カップ戦に関してはACLかルヴァンカップか天皇杯か、どれかで2015年天皇杯以外のタイトルがもうそろそろ欲しいものです。

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