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マスメディアの良識と、それを促す民度

大相撲の大関朝乃山が、ルールを破ってキャバクラに何度も通っていたことで、6場所出場停止の処分を受けましたが、同行していたスポーツニッポンの記者は諭旨解雇処分を受けたそうです。

朝乃山、あるいはこの記者に対する処分が妥当なのか厳しいのか緩いのか、人それぞれ感想も解釈も異なるでしょうけれど、取材対象との関わりにおいての過ちに対して、スポーツニッポンは良識を示せたのではないかと思います。

大相撲の番記者としては取材対象を厳しく諫めたり、紙面で批判したり、あるいは記者クラブと関係ない週刊誌にリークしたり、ということは出来なかったのでしょう。どこまでのめり込んでいたのかは赤の他人には分かりませんが、新聞社としては最大に近い厳しい処分となりました。懲戒解雇処分はかなり条件が限られますし。

逆に、相撲協会としては、地元の人たちや支援者などの嘆願運動もありましたし、結局はこの辺が落とし所なのでしょう。パトロンには逆らえません。

この問題で思うに、そう言えば取材対象の重要人物と一緒に賭け麻雀をやっていた記者はスポーツ新聞ではなく、クオリティペーパーを自認する新聞でしたが、記者に対しては停職処分止まりだったのですよね。

辞めさせれば良いというわけではない、という理屈があるのかも知れませんが、それこそ公的な立場の人間が不祥事を起こした時に、辞めさせるべきだという批判を左右両方どちらの新聞社も行ってきたと思うのですが、私の記憶違いでしょうか。

辞させる、辞めさせないは新聞社の勝手ですけれど、それこそ政治家や高級官僚がやらかした時に辞める辞めないも勝手になりますよね。

自分は問題を起こしても辞めないが、他人が問題を起こしたら辞めるべき、と言い張るのであれば、日本語で最も適した汚名は「卑怯者」だと思うのですが、そもそも、政官財マスコミの大いなる互助会・護送船団方式は今も続いているのかも知れません。

さらに言うと、賭け麻雀とキャバクラ通いは違法・合法の別から言っても大きな差があるはずですが、違法な方が辞めずに、合法だけど組織内のガイドライン違反の方がもっと厳しい処分を受けているというのは大いなる皮肉ですね。

政治家の質は国民の質・民度によるとも言われますが、この法則は多分マスメディアにも適用出来るのかも知れません。そうなると、政治家の質を高めるには有権者が選挙で示すしかないように、マスメディアの質を高めるには消費者が買う買わないを示すしかないでしょうね。

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