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北朝鮮とParlerユーザーの理屈

朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)が年中行事のように日本海に向けてミサイル発射をしていますが、日が決まっているわけではないので年中行事というよりも気が向いたら打っている感じでしょうか。
実際には北朝鮮国内での様々な事情によって発射するタイミングが決定されているのだと思いますが、日本国民としては北朝鮮国内の事情どうこうよりも、日本国の安全保障が脅かされることが問題です。

北朝鮮側の理屈としては、アメリカ帝国主義による北朝鮮侵略を防ぐためのミサイル開発・核開発であって、あくまで自衛のための兵器だということになるのでしょうけれど、数年前までは弾道ミサイルではなく平和利用の人工衛星だと言い張っていたはずです。あの理屈はどこかに置いていったのでしょうか?

朝鮮戦争だって初めは金正日がスターリンを無理矢理説得して、38度線を突破して始めた戦争であって、それを押し返した米韓軍(国連軍)を中国軍が押し戻した経緯があります。アメリカが北朝鮮にいきなり攻め込んだ歴史など無いのです。ベトナムやイラクを見てアメリカ軍の侵攻を防ぐには核弾頭を搭載したICBMしかないと、親子3代で共通認識だったのでしょうが、朝鮮戦争の経緯を考えると米韓軍の脅威が無くなれば中国との密接かつ屈辱的な外交関係を切れる、と思っている可能性もありそうです。

しかし、北朝鮮が自衛という名目のミサイル発射を繰り返せば繰り返すほど、日本国内では保守勢力、特に右寄りの方が強くなっていきます。自民党総裁選が盛り上がるように祝砲を撃っているのかと下らぬ冗談さえ言いたくなるくらい、対北強硬論を発展させていくことになります。北朝鮮が軍事力を増し、その行使対象に日本を含めれば、日本の軍事力、特に対北での敵基地攻撃能力を高める意見の正当性を強化していくのです。

去年、怖い物見たさでParlerというSNSを試してみました。

そこでは主にトランプ主義者、トランプ支持者が暴れまくっていました。というかそもそもトランプ支持者しか使っていないようなSNSですが、1月の連邦議会を占拠した暴挙を煽ったとして一時期、ネット上から存在を消されていました。

数ヶ月後には復活して、今はiOSでもAndroidでもアプリとして再公開されています。

この辺はアメリカ的自由主義の良心を示しているものと解釈しています。独裁国家なら時の政権に逆らったウェブサービスなんぞ復活させません。というか関係者は良くて逮捕、悪くて処刑が常です。Parlerの復活はアメリカらしさと現れです。

ただ問題は、他者の尊厳を認めない自由や、他者の自由を制限する自由は認められるべきか、というところです。この点ではトランプ主義者の主張を認める気にはなれません(ただし、その逆に当たる過激なリベラル論者の「リベラル的主張」に基づく、他者の人権制限については似たようなものですが)。

エコーチェンバー効果による、トランプ主義者の過激化対策をParlerが取らない限りは、また議会占拠のようなことが起きて、またParlerがネットから消されることになりそうです。

過激に他者に対して行使した暴力は、回り回ってまた自分に跳ね返ってきます。北朝鮮もParler内のトランプ主義者も、当面はそれに気が付かないでしょう。

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