ダークツーリズムとしての潜水艦事故

タイタニック号を側まで観に行くという潜水艦の事故は最悪の結末を迎えました。

ああいうのが好きな人は好きなのでしょうし、好きではない自分からしたら勝手にすればええやん、としか言いようがないのですが、それでも海難事故となれば多くの人や組織が動きますし、遺族にとっては悲劇でしかありません。

潜水艦の船体そのものに欠陥があったとも言われていますので、運営会社側の企業体質やリスク管理の不徹底さから考えると、日本の知床観光船の事故と同種の原因によるのかも知れません。もちろん、乗客やその家族の方々にしてみたら、あんな危険なツアーと一緒にするなというお気持ちだとは思いますが。

ちなみにこの潜水艦ツアーも、ダークツーリズムになるんですかね。むしろ探検・冒険の部類に入るような、危険性を孕んだプロジェクトだったと思うのですが。

ダークツーリズムの定義としては、
「災害、戦争、事故や監獄・墓地や虐殺の跡を訪れることを目的とする観光」ということになります。

この定義からすれば、今回の潜水艦も一種のダークツーリズムになるのでしょう。ただ、やっぱり個人的にはそういうところには興味本位では行こうとは思いません。ましてや、スリルを味わうような危険を伴う手段での観光というのは、あまり褒められたものでもないでしょう。

中学生が修学旅行で広島の原爆ドームを訪れる、東日本大震災の遺構や慰霊碑を訪れる、あるいは911テロのグラウンドゼロを訪れる、ということもダークツーリズムですが、一般的な交通手段で行くのであれば、多くの学びがあるでしょうし、それらまで否定するわけではないです。

本当に冒険をしたいならそれを主眼にしたものであるべきで、逆にダークツーリズムを行うなら多くのリスクがあるような手段で行くべきでもないと思います。別に、タイタニック号の事故で亡くなった人たちの亡霊に引き込まれたのだ、といったオカルト的因果応報を訴えるつもりもないのですが、端的に言えば「不謹慎」ということになるでしょうか。

今回の事故で亡くなった方々には弔慰を表します。願わくば、今回の悲劇が無謀なチャレンジを無茶に行う人が減りますように。

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