故安倍首相の国葬が終わって

故安倍首相の国葬が行われました。

国葬の是非はともかく、この件に関してさらなる国政の混乱や危機が訪れるとする主張を目にします。

しかし、個人的にはそれは逆ではないかと思っています。むしろ、これで国葬に関する議論は一般的には終息するのではないでしょうか。

もちろん、反対してこれからも閣議決定や費用の支出について追及をする、ということは大事なことではあるのですが、それは多数派にはなり得ないでしょう。

反対していた人の理由はいくつかあって、
・国葬そのものが誰であろうと不要
・法律上の根拠や国会の決議を経ていない
・費用がかかりすぎる
・国葬にふさわしい人物ではない(旧統一教会関係により)
・国葬にふさわしい人物ではない(これまでの事績から)
といったものだったかと思います。これらのうちどれか、あるいは複数を理由として反対意見を持っていた人のうち、実際に国葬が実施された後はもうストップは出来ません。上3つの場合はもうやっちゃったことをもう済んだこととして、頭の中から消し去る人も多いと思われます。

国葬にふさわしい人物ではないという理由で反対していた人は、今後も政権非難や安倍支持層との戦いを続けていくのでしょうけれど、ざんねんながらそもそも戦う場が当面ありません。

国会は自公政権が衆院で絶対安定多数を取っていますし、今年の参院選でも勝ちました。国会運営の中で野党が追及するにしても大して影響はありません。

そして国政選挙自体、何事も無ければ衆参ともに3年後です。自民党総裁選も2年後までありません。果たして、それまでずっと国葬問題が熱を持って論点・争点になっているでしょうか?

2年後、3年後といわず、この後は社会の空気感としては、急に潮が引くように国葬問題について関心を持つ人が減るでしょう。

かつて、故安倍首相の祖父の岸信介が首相として安保改定を強行して、60年安保闘争が大きな社会問題となっていたとき、国会前でのデモ隊と機動隊の衝突の最中に樺美智子という東大生が亡くなりました。

その後も抗議活動は続き、自衛隊の治安出動まであり得ましたが、結局そのまま国会にて自然成立し、安保改定の責任を果たした岸内閣は騒動の責任を取る形で総辞職を行い、安保闘争も急激に収まりました。

60年安保とは原因も経過も丸っきり異なりますが、この国葬問題も国葬が行われた後は、問題を大っぴらに語る人は減ると私は見ています。

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