「いざモスクワ」にはならず。

すわロシア内戦か、革命か、プリゴジン大統領誕生か、と数時間だけネット界隈が賑わいましたが、ベラルーシのルカシェンコ大統領が仲介する形で、ワグネルとプリゴジンが赦され、結局プーチン体制が今後も継続する結果となりました。

ちょっと前のnoteで、いずれは決定的な状況が訪れると書いたのですが、10日後にあるとは思っていませんでした。決定的な結果にはならなかったのですけれど。

さて、2023年6月25日が歴史に残る1日になると思っていた、無関係な野次馬にとってみたら失望の結果ですけれど、善良なロシア国民にしてみたらマシな結末と言えます。問題は、これが結末ではなくて新たな混乱の始まりになるかも知れないことです。

プーチン大統領が引きこもっていて、どこまで現在の戦況を理解しているのか怪しいところでしたが、さすがに正規軍と傭兵隊の正面衝突となれば、御大も表に出てこざるを得ません。そうなれば、今のウクライナ戦争の戦線については、側近や軍幹部が隠しても隠しきれなくなり、現実に直面することになります。

自身が持つ国内における権力のみで、この「プリゴジンの変」を収めることが出来ず、ルカシェンコが介在せざるを得なかったというのは、プーチン大統領の国内外における威信と権力の低下を決定的に露出しました。出来レースだの、元から決まっていたシナリオだの言う人もいますけれど、国民全体にもワグネルとプリゴジンをロシアの敵と公言した後に一切の処罰をしなければ、一番損をするのはプーチン自身です。

もう、国内でプーチンが絶対的な権力を維持していると信じる人はいなくなるでしょう。国際的にも、プーチンをそう見る向きはなくなります。

今後のウクライナ戦争の行方はまだまだ予断を許しませんが、ロシアの権力闘争は、かえって激化するのではないでしょうか。プーチン後を見据えて動く人と、権力維持のために無理をするプーチンの衝突は避けられません。

ちなみに、今回のプリゴジンの変の終息に際して、日本のTwitterでは「御所巻き」という日本史上の用語がトレンド入りしました。

冒頭の私の前のnoteには、「君側の奸」という言葉を使いましたが、ロシアの政変に関しては、ヨーロッパ的と言うよりもかなりアジア、特に東アジア的要素を感じずにはいられません。ロシアが純粋なヨーロッパというよりも、ヨーロッパの一部であり、アジアの一部でもあるという複合的巨大国家であることを前提にして、推測していくべきなのでしょう。

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