有権者の関心を惹かない政権批判

ここ1ヶ月以上は、野党やマスコミからの菅政権批判は日本学術会議の任命拒否問題ばかりですが、この問題でいくら野党が政府を責め立てても、選挙にはほぼ全く影響しないはずです。

長きに渡る安倍政権時代において、森友学園・加計学園・桜を見る会といったスキャンダルが起きても、国政選挙には影響せず、自公政権が政権を握り続けました。

結局のところ、有権者に直接的利害関係のない問題を、野党やメディアがどれだけ騒いでも選挙で野党が勝つことはありません。

逆に言うと、選挙で勝つには有権者の関心の高い社会問題で攻勢をかけるしかないので、例えばコロナウイルス対策、GoTo関連の混乱、昨年の消費税増税など材料はあるはずです。

野党あるいは政府批判する側にとってみれば、自分たちの主張は正しくて誰にとっても自明のもので、自分たちに反対する人間は悪そのものだと思ってしまっているのかも知れませんが、それでは結局勝てません。

そもそも選挙が「選挙戦」というように戦いである限り、戦う相手が存在します。その相手だって必死で対抗してくることを想定していないかのように見えます。自分の理論理屈だけを押し付けても勝利に結びつかないのです。

選挙でいえば、有権者の支持を得るためには有権者にとって自分たちに投票させるインセンティブを与えないといけません。インセンティブといっても具体的な金銭とかである必要はなく、与党に投票したら最終的に自分が損をしてしまう、と思わせることです。動機付けと言い換えられるかも知れません。

森友学園・加計学園に続いて日本学術会議の問題という見方をすると、学問・学校・文部科学省関連のスキャンダルが続いているようにも見えます。森友学園は正確には財務省のスキャンダルですが。

国家と学問の関係性におけるスキャンダルとも言えなくもないですが、国民とマスコミの間で、学問自体の重要性の認識に大きな乖離があるのかも知れません。少子高齢化によって、学問・学校などに直接的に関わる有権者は十代から五十代くらいまででしょう。はっきり言ってしまうと、高齢者にとっては学校なんかどうでもいいっちゃあいい問題です。

しかし、マスコミの影響力を考えると逆なんですよね。高齢者の方が影響を強く受けていて、若い世代の方が受ける影響は小さくなっています。結局どっちなんだと言いたいですが、結局有権者にとってはこの辺の問題はどうでもいいレベルの話なんでしょう。

むしろ東京オリンピックの招致に絡む不正疑惑を追及した方が政権にダメージを与えられると思いますが、やり過ぎると五輪絡みの利権を得られる業界からは嫌われますし、そもそもマスメディアの中でも新聞テレビは五輪で恩恵を受けるはずの業界なので、厳しい追及なんか出来るはずもありません。

第4の権力とも言われるようになったマスコミと、そのマスコミから監視されるべき政府が利害を共有している社会問題については、政権批判のネタになり得ないというのは大いなるジレンマですね。

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