首相公選制のハードルとリスク

もうすでに過ぎ去ったネタではありますが、自民党総裁選挙が党員の直接投票無しで行われたことに対しての批判がいろいろ言われていました。

都道府県連では投票もあったのである程度は党員の意見も反映はされていましたが、その結果を見るに党員投票していても結果は同じっぽかったですね。ただ、党会費を払っている人にしたら党員投票するべきだという意見はもっともなことなのですが、問題はその批判に対してじゃあどうすればいいか、ということです。

私個人は自民党員でもなんでもないので、どうでもいいとまでは言いませんが直接関係ないことで自民党を批判する気にはなれません。

自民党のトップを決めるのは自民党が決めることであり、他の政党や、あるいは党員でもない人が批判しても変わることはありませんし、変わる方がおかしいでしょう。

赤の他人が変えるとすれば、国会での議席数で首相が決まる議院内閣制の方です。

党内で総裁イコール総理を決めるのではなく、国民が国のトップを決めるべきだ、という意見はことあるごとに出てきます。

しかし問題は、現行の日本国憲法には議院内閣制が規定されていて、有権者の直接選挙による首相公選制や大統領制などを行うには憲法改正が必要なことです。

自民党批判をする層と、憲法改正反対・護憲派の層は結構重なっていると思いますが、その折り合いは付くのでしょうか? 首相公選制導入のために、普段は「一言一句憲法は変えない!」と主張している人が改憲に賛成するのでしょうか?

あと、首相だろうと大統領だろうと、議員経由の間接選挙でなくなるのなら、トランプ大統領のような人物が突然選ばれてしまう可能性もありますが良いのでしょうか?

アメリカ大統領選挙は、正確には有権者が全国的なレベルで誰かに投票して選ぶ仕組みではなく、州ごとに投票が行われて、得票が多い候補者がその州に割り振られた選挙人団を獲得し、その数を争う仕組みになっています。そのため、全国的な得票数と獲得した選挙人数にねじれ現象が起こりえますが、それが2000年と2016年に実際に発生しました。

しかし、それをトランプが大統領の資格がないというわけでもありません。事前に決められたルールに則って選ばれた以上は正当な大統領です。

そういった、反トランプ層からみたらとんでもない人物が、国家主席公選制では選ばれてしまう可能性があります。その覚悟もあるでしょうか?

首相公選制導入にあたって、その被選挙権を例えば現役国会議員に限るという制限を設けることは出来るでしょうけれど、それで公選制と言えるかどうかは微妙になってきます。

公選制は、どうしたって目立つ人、過激な人、スタンドプレーや煽りが上手い人が選ばれるかも知れないという危険が付いてきます。「国民に人気がある」という触れ込みだった石破氏は、むしろこういうスタンドプレーとかが苦手だと思いますが、公選制でも結局ダメだったんじゃないでしょうかね。

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