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企業の国籍を気にするよりも。

中国企業のバイトダンスが運営するTiktokがいろいろな理由から海外市場、特にアメリカにおいて事業売却の圧力にさらされています。

米中対立、スパイ疑惑、情報漏洩など原因としては様々ですが、Tiktokのマイクロソフト社への売却は時間の問題のように思えます。あとは金額でしょうけれど、禁止されて売上ゼロになるくらいなら譲歩せざるを得ないでしょう。

マイクロソフト社としては念願のSNS市場へのとっかかりとなりますが、Skypeを買収してもSkypeとしてしか利用出来なかった歴史を考えると、TiktokもMicrosoft全体のサービス価値向上に持っていけるのかな?という疑念も湧いてきます。バルマー体制とは異なり、クラウドへの理解のある今のナディラ体制なら上手く行くかも知れませんが。

一方、日本ではLINEとYahoo!親会社の経営統合が2021年3月に行われます。

正確には、
ソフトバンク
Zホールディングス(ヤフー運営、ソフトバンク子会社)
NAVER
LINE(NAVER子会社)
の4社で業務提携を行い、LINEがZホールディングスが経営統合する形になりますが、実質的にはソフトバンクがLINEを買収するようなものです。

さて、LINEはNAVERジャパンが独自に始めたサービスでした。NAVERが韓国企業だったこともあり、LINEの情報は韓国に流れる、という人もいますが、ソフトバンク傘下になってもそう主張するのでしょうか?

ヤフージャパンもちょっと変わった経緯でしょうかね。アメリカのYahoo!とソフトバンクがヤフージャパンを作りましたが、今となっては完全にソフトバンク傘下です。では、Yahoo!ジャパンというサービス自体がどこの国のものなのか、ということになりますが、アメリカでしょうか? 日本でしょうか? そしてそことくっつくLINEはどこの国の企業と言われるようになるでしょうか?

買収されたIT企業で言えば、前述のSkypeもどこの国の企業というか難しいです。Skypeはエストニアで生まれましたがルクセンブルクに籍を置く企業を、アメリカのイーベイが買収し、さらにファンドを経てMicrosoftに買収されました。さて、Skypeはどこの国の企業となるのでしょうか? エストニアでしょうか、アメリカ合衆国でしょうか?

対立や緊張関係にある国の企業が提供するサービスに対して、慎重になるのは分かります。うかつに使って情報を窃取されたらたまったものではありません。中国政府のやっていることを考えたら中国企業を擁護する気にはなれませんが、そもそも外国企業だろうと国内企業だろうと、SNSやウェブサービスへの過剰な信頼はすべきではないというのが一般人として取り得る行動ではないでしょうか。

第一、Tiktokどうこう以前にGoogleやFacebookやTwitterという純然たるアメリカ企業でもアメリカ国内で批判されています。なんでもかんでも個人情報や瞬間的な感情をネットに書き込むこと自体、危険があるということは認識しておくべきでしょう。

あと、中国政府は今回のTiktok騒動で文句を言っていますが、そもそも中国国内でGoogle検索やFacebook・Twitterなどのウェブサービスを自由に使わせず、VPNすら遮断している一方で、他国での自由な企業活動を要求するのは虫が良すぎると言われて当然だと思うのですが、そういう反論に対してはなんと言うんでしょうね。

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