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大阪ダービー3連戦が突きつけた「暫定的なサッカー」の限界

初戦、ホームでのリーグ戦は0−1での敗戦。
2戦目、アウェイでのルヴァンカップ準々決勝第1戦は1−0での勝利。
3戦目、ホームでのルヴァンカップ準々決勝第2戦は0−4での敗戦。

2戦目の勝利もセレッソがメンバーを入れ替えてきたことを考えると、この3試合を通じてガンバが良かったと言える試合はありませんでした。はっきり言うと、弱いチームがそこそこのチームに惨敗しただけの話です。

今のガンバの状況は、志向は異なりますが森保ジャパンを劣化させたような戦い方のようにも見えます。代表で昌子とヨングォンが抜けたDFは守れなくなり、藤春やパトリックが復帰しても攻撃陣は得点出来ません。

選手の個の力でしか戦えない上に、その個を出せるキーマンを抑えられると何も出来なくなります。自分たちはこうすればいい、こうやって戦うんだという、自分たちのサッカーのやり方がわからなくなっている感じが見えて、観戦するのも辛いと言えば辛いものがあります。

ただ、この惨敗はガンバサポーターは見ておかないといけません。今のガンバがどんな状況か、何をしようとしているのか、何ができないのか、選手もコーチも監督もフロントもどのような混乱の中にあるのかが、昨日の90分に凝縮されていると思います。

この三試合目の失点のうち、最初の3失点はいずれも相手シュートやクロスのこぼれ球を決められています。たまたま、運が悪かったと言うよりは、ガンバの選手の反応が遅い証拠と言った方が良いでしょう。

この惨状を受けて、ガンバのフロントは動くのか。今年のガンバは何のために試合をしているのか。色々思うところはあります。宮本監督から松波監督に交代してから、しばらくはチームの雰囲気が良いという選手たちからの意見がありました。見ていてもそれは分かりましたが、果たして、今もそうでしょうか?

チーム状況や結果については、当然ながら松波監督にその責はあります。監督交代や強化方針については、そもそも強化部にいた松波監督が単なる雇われ監督以上の責任はあるのですが、監督を代えれば良いという結論でもありません。

第一、5月14日に宮本監督との契約を解除したときは、松波監督が「当面の監督を兼務」とプレスリリースされたようにあくまで暫定監督でした。

浦和とFC東京に負け、徳島と横浜FCに勝った後に6月1日になって、暫定監督から正式な監督として続けることになりました。

マスメディアでは元鹿島監督の大岩氏との交渉がまとまらなくて結局、そのまま松波体制継続のように見えましたが、クラブの方針としては良いものではありません。私自身、あの時点での松波監督は、今年の目標をJ1残留に絞るならそれで良いと思っていました。

監督交代から4ヶ月弱、ずっと暫定的なサッカーをしてきたと思えば、結果としては悪くないでしょう。それが許されるクラブならそれでいいです。許されないクラブならダメです。

ガンバ大阪はどのようなクラブなのか。何が求められるクラブなのか。クラブ、監督、チームスタッフ、選手、サポーター全体の共通理解はあるでしょうか?

一つは、「攻撃的サッカー」かも知れません。でもそれはあくまで「強い」攻撃的サッカーであるはずです。何も出来ずに敗戦するサッカーを攻撃的サッカーとは言えません。

今年2回、攻撃的サッカーへのこだわりに疑問を呈するnoteを書きました。

チーム状況、リーグの流行、他チームとの戦力差、選手の能力、監督やコーチの志向といった条件が揃ってこそ、自分たちから仕掛ける攻撃的サッカーが出来ると思います。逆に言うと、条件が揃わずに無理に方針を変えると悲惨なことになります。まさにそれが2018年と今年でした。

今年、そして現在のガンバが抱えている問題は今だけの問題ではなく、近いところでは長谷川監督からクルピ監督にスイッチした際の過ちから生まれました。さらには、西野監督からセホーン・ロペス体制にスイッチした時の決定的な失敗から続いているものであり、そう考えると10年間続いてきた問題です。

「ガンバ大阪は攻撃的サッカーで勝つ」

という命題は非常に魅力的かつ困難なもので、容易に解決策は編み出せません。解答を出せる条件が揃うまで、こんな混乱が続くのでしょうか?

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