リフロー型電子書籍からのピンポイントでの引用が出来ない件

個人的に普段読む本はほぼ全て電子書籍、特にAmazonのKindleになっています。本の中には参考文献や引用で、別の書籍の情報が出ていることがありますが、当然ながら引用箇所にはその本のページ番号が書かれています。

しかし、この読んでいる当の電子書籍にはページ番号は存在しません。正確に言うと、固定型の電子書籍は紙の本と同じですので、ページは存在します。しかし、リフロー型の電子書籍ですと、読むデバイスの画面サイズや解像度によって1画面内の表示可能な文字数が異なりますし、同じデバイスでもフォントやフォントサイズを変えると表示文字数は変わります。

そのため、リフロー型ではページ数の概念はありません。Kindleではその代わりに位置ナンバーという目安が存在します。

アプリではなくKindle端末では章ごとにその位置ナンバーが目次(書籍内の目次ではなくKindleが表示する目次)で表示されるので、読んでいる時に大まかな目安が分かります。もちろん、読書の進捗率としてのパーセンテージも表示されているのでそっちの方が分かりやすいですが、まだ読む前の章自体がどれくらいのボリュームがということが位置ナンバーからは大雑把に計算できます。

では、位置ナンバーがページ番号がわりになるか、というとそれは微妙な話でして、これまでの読書では位置ナンバーがどのように決められているのか、あまり気にしていませんでしたが、どうやら結構ややこしい仕組みになっているそうです。

いろいろ検証している人のブログを見ましたが、単純に行(論理行)で数字が割り当てられているわけではなくて、一定の文字数か文節数ごとに内部で割り当てられているみたいです。Amazonの公式のヘルプページには「位置No.とは、本文の各行に割り振られた番号です。」とガッツリ書いてあるんですけどね。

もちろん、行だけで数字を割り振っていった場合、改行せずに文章が長く続くような文学作品では大変なことになります。逆にほぼ全て改行されているような詩集・句集といったものでもやはり位置ナンバーが膨大な数になってしまいます。

使い勝手が良いような、悪いような位置ナンバーですが、読者が大まかな目安として使用する分には十分でしょう。しかし、論文での引用といった厳密さが要求される場合は不便です。正確な場所を他人に伝えるのが難しいからです。

多分、この位置ナンバーの仕組みをAmazonは公開しないでしょうけれど、公開するか、あるいは電子書籍を扱う企業が団体を作って一様なルールでも出してほしいものです。そうすれば、論文に電子書籍からでも引っ張ってきやすくなるでしょうし。もちろん、電子書籍そのもののの改版やアップデートの問題は別にあるのですが。


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