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【殴り書き】一歳半育児の呼吸

朝6:00に目が覚め重い身体を起こした瞬間に1歳児と目があったとき
「めちゃくちゃかわいい人がいる、きゅん」そして「今日は終わったな」と思う

夫と娘を見送るまでに朝ごはんを作り、食べさせ、その間も抱っこ請求があるので、ほぼ間違いなく、化粧はできず朝ごはんを味わうこともできない確定だ
焼きたてのバタートーストも横取りされて、ぐちゃっとなったやつを食べることになるだろう。でもそんなことはもはやどうでもいい

抱っこして機嫌をとりながらでは、化粧も洗い物も洗濯処理も片付けも掃除も段取りよくできないだろうから、
午前中は買い物に出れない可能性がある。

8:00からのNHK朝ドラのブギウギはほっとする15分。オープニング音楽に子どもがノッてくれてその余韻でなんとか最後まで見れる。ありがたい。
ブギウギを見た後の華丸大吉さんと鈴木さんの顔を見て、おはようございますと会釈する娘。ここで私が立ち上がると泣いてしまうから、ダラダラしたくないのに、ダラダラせざるをえない。はやく洗い物を終わらせてしまいたいのにはやく掃除をしたいのに床に張り付いている歯痒さに気力まで吸い取られ、少し吐きそうになる。この不快感が、それ以降の脳天をつきやぶるような怒りの素地になっていることを察しつつも未処理のまま時間経過を見送る。

床でじっとしていられずせめて、スマホで友人などのラインに返信したいから、子どもにビデオや使っていないスマホを渡して画面で遊ばせる。これを渡していないと私のスマホが奪われて、せめてものライン返信すらできない。そんなリビングの光景を客観的に見ては、何してんだろうと思う。家事をしていないならもっと子どもかまってやれよと思う。でも、できない

少し落ち着いたかなと私がキッチンへ向かい洗い物を始めると、泣いて追いかけてきて足にへばりつく、寂しかったんかといったん抱きしめる。ものの1分くらいしか経ってへんけどな。おもちゃを出して機嫌をとって、リビングにもどり少し遊んだり一緒にテレビを見る。そろそろ大丈夫かなと再び立ち上がりシンクでゴム手袋をはめたくらいで、また追いかけてきて足に絡みつく。「まま、まま、べじーー」と覚えたての単語を言いながら泣いている。
「ちょっと待ってな。少しだけ待ってな」えーん、えーんえーーーんとどんどん声がでかくなる。

この時点で私は、足から子どもをふりほどいて、蹴っ飛ばしてしまいそうだ。
ふっ飛ぶ子どもを想像して、やばいやばいと思う。

今、洗い物どうしてもしたいねん。ごめんな。おんぶしようか?「ちがう」テレビでアンパンマンみようか「ちゃーう!」おもちゃしようか「ちゃうーーー」ほなお着替えしよう「ちゃうーーーーーー」

感覚がぼんやりしてくる。最適が解らなくなってきて抱っこをしてトントンする。「あっちあっち」「ちゃうーーー」泣いている。せめて触れ合っているタイミングを活用し大泣きする我が子のおむつをかえて着替えさせる。

するとなんの拍子かケロリとして、テレビCMの歌に合わせて歌っている。こんな仕草も微笑ましく見ることができない。

再び、洗い物をしようと席を立つ。追いかけてきてくれるな、と心で願ってる。少しだけ集中させて洗い物させてくれと願ってる。
追いかけてくる。
両手で両足を掴みへばりつく。アメフトのタックル。ああ無理だ。
「ピンポーン、ちょっと1歳児見といてあげるよー」って謎の女の人がうちにズカズカ入ってきてくれないかなと欲望妄想をしながら、他人に頼らない自分の在り方の正解も不正解も飲み込んで、痺れを切らした。

抱っこしたまま、ステレオに向かい、大音量にしてから接続してあるアイフォンで「怪獣の花唄」を流した。

Vaundyの歌声とベース音が大きすぎて、ギャっと怖がり抱きついてきた子どもを見て、
この幼児を少しくらい驚かせたり、嫌がらせをしたいような気持ちにもなってきて、
そしたらテレビニュースで見る虐待事件とかが走馬灯のように頭をよぎり
自分は虐待はしないけど、虐待のギリギリ隣にいる自覚を噛み締める。

音楽が切り込んできてくれることで空気の色が変化するような気がする。視界が変わると抱っこしながら一旦ソファにすわろうと思える。口ずさむ。「落ちてく過去は鮮明で 見せたい未来は繊細で すぎてく日々には鈍感な君へ」

そのままソファで座った私に抱かれて、子どもは眠った。朝も早かったというのもあるが、私の呼吸が落ち着いたのを察したか。


「子育て」の大変さやイライラエピソードは後日談として笑顔でもって語られる。「でも、ま、すごいかわいいんだけどね」という言葉と一緒に提出されて、みんなの心を和ませる。そんな感じで情報共有することが平和でありがたくて、愛おしい。
でも、苦しいのは怒りが脳天突き破った瞬間だ、理不尽と孤独を一手に引き受けている世の子育て中の人たちが、脳が泡を吹くようなあの感覚を味わわずにすむように。
ピンポーン「ちょっと1歳児見ててあげるよー」謎の女の人、ズカズカ入ってきてくれないかな。小1時間くらい同じ空間にいてくれると助かるよ。


殴り書きおわり


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