感情移入撮影録②

「目指しているものが違いすぎる」
そう思って自分から別れを告げたはずなのに秋になると、妙に寒い風が体を包む。
未だにこれでよかったのかと後ろを振り向いて、美化しきった思い出を拾ってみつめてしまう。
あれから5年経つ。
結婚したり子どもが生まれた友達がちらほら増えてきた。
旦那さんの愚痴を言いながらも、
一緒にいるということはそういうことなんだろう。

男性とSNSを交換すると「写真すごいね」と言われる。
素直に嬉しいはずなのに、大体それきり連絡がこない。
そうか、こんな写真を載せる女はあなたの中で"対象外"なのか。

このまま進んだ先に何があるのか考えないようにしてしまう。
もし独りだったら?辛いときに一人で耐えられるだろうか。
考えたくないなあ。
孤独を覚悟して夢を選んだわけじゃないのに。
自分で選んだはずなのに、こんなことを考えてしまう自分に嫌気がさす。

でもきっと、この道を選ばなかったら自分にもっと嫌気がさしていたんだろう。
だから私は自分のことを好きでいられる。
大丈夫。私の人生はまだ楽しくなる。


という思いを持った女の子をイメージして撮影。

私が作る架空の人物像は、モデルが感情移入しやすいように
モデル自身の経験を加味して作っているから
同じシナリオでもモデルによって出る表情は違うんだろうな。

以前、好きな男の子とインスタグラムで繋がったあと
「なんでこんなアートっぽい写真ばっかりなの?よく分かんない。」
と言われた。腹が立ったから
「お前には分かんねえよな。」
と言い返したら連絡が来なくなった。なんなの。

女の子が夢に向かって行動して、
そのツールとしてSNS使うと何で恋が遠のくんだろう。

でも、彼を手に入れる以上に私は私が欲しいんだよなと自分の写真を見て毎度思う。

自分の好きな写真ばかりあげられる私の方が
よっぽど素敵だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?