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【10月はてんかん月間】てんかん当事者がラジエーションハウスを見た感想

2021年10月11日に放送されたラジエーションハウスにて、
「てんかん」を待つ小学生の物語が描かれていました。
10月はてんかん月間というてんかんを啓発する月なので、
それを踏まえたのでしょうか。

私は、9歳〜21歳まで、てんかん発作に悩み、
抗てんかん薬を服用していた当事者であり、
ドラマで描かれていた少年の気持ちに共感する点が多々あったので、
記録として残しておこうと思います。

てんかんのことを知らない人がこのnoteを読んで
少しでもてんかんのことを理解してくれたり、
てんかん患者(またそのご家族や友人)が、
より「生きやすい世の中」になればいいなぁ〜


1.てんかんとは?

聞いたことあるけど、よく知らない。
そんな人が多いのではないでしょうか?
実は、100人に1人がてんかん患者と言われており、
みなさんの身近にもいるかもしれません。

癲癇(てんかん)は【脳の病気】です。
感情の起伏/光や音などの外的刺激などによって脳波が乱れ、
全身痙攣などを起こす病気です。(※人によって要因も症状も様々なため、
あえて「など」を多用しています)
普段は元気な人が、急に意識を失い痙攣などを起こすので、
車の免許の取得ができないのはもちろんのこと、
強い光がNGなので脱毛とかも受け付けてもらえないですし、
毎日痙攣する人に至ってはなかなか働くことも、
一人暮らしもしにくいような病気です。

画像3

参照:


いわゆるてんかんは「特発性てんかん」を指し、
発症原因は不明。かつ完治するかも症状によりけりなため、
重度なものは難病にも登録されているそうです。
多くの方は、発作を起こさないように抗てんかん薬を
朝晩2回服用し、発作を抑えています。

毎年3/26に、「パープルデー」という運動をしたり、
10月をてんかん月間 として、てんかんの啓発活動も行っていますが、
まだまだてんかんについて知らない人や
誤ったイメージをお持ちの方が沢山いる印象です。

ちなみにコロナによる影響について、
ウイルスとの直接的は影響はないものの、
コロナウイルスにより発熱などの症状が出ることで、
てんかん発作が起きやすくなる可能性があるそうです。

2.私のてんかん発症歴

私のこれまでのてんかん発作を簡単にお伝えします。

◆9歳:初発作
学校でドッジボールをしていたら急に倒れたそうです。
翌日学校に行ったら「死んだかと思った」と
友達に号泣されたのが今でも脳裏に残ってます。

◆小学生
基本的に毎回学校での発作で、
半年に1回くらいの頻度で発作が起きていたと思います。
授業中にいきなり椅子から倒れたり、
通学中の道路で倒れたこともありました。

小学6年生の修学旅行先でも倒れてしまい、
この時は、発作が起きる数時間前から
お腹が異常に痛かったのを覚えています。
病院に運ばれ、母が車で日光まで迎えにきてくれたため、
泣く泣くそのまま帰宅しました。

◆中学生
私のてんかん発作のピークがこの頃かと思います。
全身痙攣もありましたが、それにプラスして部分発作が頻発していました。
もはや自分でも、てんかんによる頭痛や放心状態なのか、
他に原因があるのかわからないけど「ぼーっと」してしまうことが多い状態でした。
(てんかんを理由にしていいのか分からず、罪悪感を覚えていました。)
体調が安定せずよく早退や遅刻をしてしまい、
保健室登校していた時期もあります。

◆高校生〜現代
高校では、一度だけ発作で倒れました。
男子バレー部のマネージャーになりたてで、
初めての練習試合で一日中走り回った結果、帰宅中に倒れました。
この時は、自転車を押して歩いている状態(手がふさがってた)で
頭を地面に打ってしまったため、救急車で運ばれて2針縫いました。
ただこの時、(私は記憶にないですが)部員の問いかけに対し、返答していたと聞いています。
その後、体調も落ち着き、てんかんの事なんて忘れかけていた
大学に入学して間もない頃、久しぶりに全身痙攣で倒れました。
もう発作は起きないと安心しきっていた矢先、とってもショックでした。
現在社会人3年目ですが、特に就労制限なく働いています。
入社時に産業医の先生と面談をし、主治医から脳波も落ち着いているのでもう大丈夫だろうと言われていることを含め現状を話したところ、
無理しなければ通常通り働いていいと言われました。

3.ドラマを見た感想

※ここからドラマの内容について触れるため、ネタバレも含みます。
まだ、ラジエーション・ハウスをみていない方は、
10月18日21:00までTVerで見れるので、ぜひみてみてください!
https://tver.jp/corner/f0085696

-発作の描写について
少年が全身痙攣で倒れるシーンが複数回流れましたね。
私は自分自身が倒れてる時の状態を知らないので、
「こんな感じなんだ.....」とちょっとショックを受けました。
(おそらく少し過剰に描写しているかとは思います)
倒れた瞬間に周りにいた子達が逃げていくのとか、
悲しさと恥ずかしさと申し訳なさの感情が乱れ狂いながら拝見しました。
小学生くらいの子供からしたら、
全身痙攣で倒れてる人は恐怖でしかないよなぁ。
私も友達に沢山怖い想いをさせてしまったのだなって思いました。

-周りからの目について
「あいつ、また倒れたらしいぜ」ってライバル選手が噂話をするシーン。
私はああお願いだからそんなこと言わないで、1番辛いのは本人なんだよと
胸がギューーとしました。
私自身、てんかん発作のひとつである「脱力発作」による尿失禁で
恥ずかしい思いをしたこともありますし、周りからどう思われているのか、そんな不安はこびりついて離れてくれないのです。

-発作時の当事者の恐怖について
窪田正孝演じる五十嵐のセリフで

「てんかんは、発作が起きる度に呼吸が止まって、目の前が真っ暗になって、もう2度と目を覚ますことはないのではないかと死の恐怖を味わいます。発作が起きていない間も『次また起きたらどうしよう』と考えれば考えるほど怖かったんじゃないかな」

というのがありました。

これに関して、半分共感できて半分共感できなかったので、
私の気持ちや症状を説明させてください。

私はてんかん発作が起きる時、
発作が起きる直前から記憶が飛んでしまっています。
なので、恐怖を味わっている記憶さえもないというのが正直な気持ちです。
いつのまにか大体気がついたら保健室で、「ああ、また倒れてしまったのか」と絶望する。そんな繰り返しだったように思います。
なので、このセリフの前半部分には共感はできませんでした。
しかし、後半部分には大変共感しました。
発作が起きていない時も『次また発作がおきたらどうしよう』と
考えてしまってずっと不安な気持ちがあったり、
なにより「自分が欠陥品なのではないか」という思いが拭えないのです。
これらの気持ちはずっと私の中でこびりついて離れてくれませんでした。

-コントロールできないもの
てんかん持ちの少年のセリフに

「てんかんだけはどんだけ僕が努力したってどうにもならない。僕にはどうしようもできない。」

というものがありました。
ああああそれなああああと叫びましたね。

私も中学の時、部活の大会当日に発作が起きて大会に出れなかった事がありました。レギュラーだったのでチームメンバーには本当に迷惑をかけてしまったし、あの時は「なんで今日なんだろう」と自分を呪いました。
ただ、てんかんを通して<コントロールできないものがある>という事を強く感じてるからこそ、人間関係とか仕事とか恋愛とかの類のものは「(てんかんに比べたら)自分次第でどうにでも変えられる」というスタンスがあるなと感じるので、これは今の自分にとっては強みとなってるのではないかなと思います。

4.伝えたい事

-てんかんは人によって症状が様々
てんかんといっても、原因不明の「特発性てんかん」や頭部外傷や脳卒中の後遺症として発症する「症状性てんかん」があったり、影響する脳の範囲も「部分発作」と「全般発作」があり、それぞれ発作の症状が違ったりします。
また、私のように抗てんかん薬がマッチして薬物療法で済む人もいれば、今回のドラマのように抗てんかん薬が効かない「難治性てんかん」などもあり、てんかんといえど症状の重さや発作の種類も様々です。

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参照:
https://www.alfresa-pharma.co.jp/general/tenkan/about/index.html

下記は、厚生労働省のHPから抜粋した文です。

てんかんのサイン・症状
「てんかん発作」の症状は、脳のどの範囲で異常な電気発射が起こるかにより多彩です。たとえば脳の一部で起こった場合(部分発作)では、光がチカチカ見える、手がピクピク動くなど、患者さん自身が感じられる様々な症状を示すことがあります。電気発射がさらに広がると、患者さん自身は発作の間意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。一点を凝視して動作が止まって応答がなくなるなどの目立たない症状が出現します。電気発射が脳全体に広がると、全身のけいれん発作になります。
脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状や、全身のけいれん発作が起きます。

参照:

つまり、ドラマで描かれていたように、
バタンと倒れて全身痙攣が起こる以外にも発作の種類があるという事です。
なので、「ドラマの発作のイメージ=てんかん発作」と決めつけないでほしいです。

-身近にてんかんの方がいる人に向けて
これは個人的な気持ちなので、
その方も同じ気持ちかは分からないのですが参考までに。

てんかん持ちは、自分のことを「普通じゃない」とか
「欠陥品だ」だとか「私なんて...」と思っている傾向が強いかと思います。なので、それを感じさせないくらい普通に接してあげてください。
そして、発作が出た時は、怪我をしたり呼吸が荒れたりしていなければ、
そのまま横にさせて休ませていただけると大変ありがたいです。

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参照:https://toyama-nishi.jp/news/medicals/epilepsy/

-てんかんは個性
ある方が「てんかんは個性」だと教えてくれました。
たしかに、てんかんだったから得たことが沢山あるんです。
私の場合は、例えば
■人の目を意識して、人が嫌がる事はしないという優しい気持ちを持った
■私個人としてでなく「てんかん持ちの人間」という肩書きで見られるのがすごく嫌で、肩書きで人を判断しなくなった
■発作が頻発してとても苦しかった時にお母さんや学校の先生や友達が支えてくれて、「私も誰かの力になりたい」と利他精神が強くなった
■誰かの力になりたいと同時に「誰かに支えられずとも自立して生きていきたい」と強く思い、キャリア志向が強くなった
■「私なんてどうせ'てんかん'だし....」ってマインドを感じていたから、レッテルを貼ってしまう人に共感し寄り添うことができる
■学校早退して、家にいることが多かったから、ママがどんだけ大変かを間近で見てきて、母親のありがたさを感じると共に、家事とか出来るだけアウトソーシングしたいって思うようになった。笑

こういう私の価値観や性格は、私の個性であると今は思ってます。
「100人に1人のタグを複数持て」なんて何かのビジネス本で見かけたことがありますが、「てんかん」というタグは私を構成する大きな存在であり、これに私らしい強みをかけ合わせて「私」という人間を作り上げていきたい。そう思っています。

5.もっとてんかんを知りたい人へ

▼てんかんの情報サイト
https://epilepsy-support.net

▼てんかんYouTuber
https://youtube.com/c/lincoln_nakamura_epi_channel

▼てんかんで悩んでるあなたへ
https://www.jea-net.jp/wp-content/uploads/2020/05/MX-3640FN_20200525_152133.pdf




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