しゅうまつまた会いましょう

今日世界が終わるらしい、らしいと言うのは目に見える程に迫った隕石を見たくない現実逃避の様なもので、終わるのは確定事項である
「結局、ずっと一緒だったね」
隣にいるのは、幼い頃からの付き合いでずっと一緒にいる女の子だ
「俺みたいな面倒くさい奴のことなんて置いておいて家族と過ごせばよかったのに」
「あんた、私が居ないと1人じゃん
「別にそれでもよかったんだがね」
なんてことのない世間話は楽しかった、一緒に笑って、一緒に泣いて、一緒に怒って、一緒にいた、そんな日常がまだまだ続くと思っていた
「神様は酷いことをするなぁ」
不意にポツリと悲しそうな声がした
「神様なんて居ないさ、いたとしても、神様は俺達人間のことなんて見ていないよ」
「君は悲しい人だね」
「知ってる」
「私も君を知ってる」

終末まであと僅か

「なあ」
「なに?」
「お前のことがずっと好きだったって言ったら笑う?」
「笑う、けど嬉しい」
「そうか」

「ずっとずっと好きだった」

文字通り一世一代の告白をした

「やり直し」

一刀両断された

「なんでだよ!」
「だったってなに?今は好きじゃないの?」
「好きだよ!愛してるさ!」
「じゃあ過去形にしないでよ!」
ごもっともである

「今日ももう遅いね」
空は暗く、時間も分からなかった
「そうだな、もう帰る時間だ」
「また週末会おうよ」
「どこ行きたい?」
「映画かな、見たい映画があるんだ、隕石が地球に衝突する映画なんだけど」
「見たくねぇな、また明日決めようぜ」
「はーい」
あくまでも日常の延長線として別れの挨拶をする

「またね」
「次のしゅうまつで会おう」

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