今THA BLUE HERBが僕の魂を震えさせる訳
僕自身、北海道出身でありながら、札幌に長く住んでいたことがありながら、最近になってTHA BLUE HERBを聴き始め、そしてその魅力にとりつかれるようになりました。
なぜでしょうか?昔から少しなら曲を聞いたことはありましたし、その時は特に何も思わなかった。故郷を離れたことでより愛着が湧いたから?はっきりとしたきっかけは自分でもわかりません。年齢を重ねて曲の聴き方が変わったのかもしれません。
この記事で自分が夢中になっている理由を噛み砕くことで、他の方も聞くきっかけになってくれて、あわよくばTBHを語り合える仲間が増えてくれたらなあと思っています。
※僕はヒップホップに詳しいわけでもなく、音楽に特別詳しいわけでもありません。なのでヒップホップの文脈に沿って彼らの音楽を紹介することはできません。
何が好きか
一言に、ILL-BOSSTINOの詩世界です。そして特に自分に刺さるリリックには以下の特徴があります。
トラックと、リリックの抜粋とともに順番に紹介していきます。
独特の宇宙観
ボスのリリックの中に、「読みかけのカール・セーガン」という一節があるように、宇宙に思いを巡らせるようなトラックがいくつもあります。
Ill-Beatnik
フジロックでのパフォーマンスがとにかく有名なこのIll-Beatnikという曲ですが、個人的にはこのサマーソニックでのパフォーマンスが神がかっていて、何度聞いても鳥肌が立ちます。サカナクションの山口一郎氏もこの曲のリリックを引用。
この曲は音源化されておらず、ライブでも極稀にしか演奏されません。
智慧の輪
リリック:https://ameblo.jp/hedgehog-diary/entry-10457477346.html
ストーリーテリング
未来世紀日本
リリック:https://ameblo.jp/galapa625/entry-11058380251.html
重厚なサイバーパンクSFとして成立している恐ろしいトラックです。攻殻機動隊やマトリックスが好きは方にぜひ一度聞いてほしいです。
路上
カトマンズを舞台に、若いドラッグディーラーが自らのカルマ(宿命)を断ち切り、新しい人生を手に入れるためにもがき苦しむ物語です。
小説ですかこれは???
WE MUST LEARN
ソ連のアフガン侵攻から端を発し、湾岸戦争、911、アフガニスタン紛争に至る時代の中で、自爆テロ行為に至ったイスラム義勇兵が主役の物語でしょうか。具体的な描写が少ないので勘ぐりかもしれません。
心理描写が多いトラックで、当然我々と同じように家族の一員である一人の人間が、不条理な運命に翻弄される様子が表現されていると思います。
HEARTBREAK TRAIN (PAPA'S BUMP) / UP THAT HILL (MAMA'S RUN)
子を持つ家庭が壊れ、離れ離れになる男女の様を両方の目線から描いたトラック。リアルな描写に聞くのが辛くなる時もありますが、誰もが抱えながら生きている人生の辛さをえぐり出しつつ、それでも生きていかなければいけないという前向きさも感じさせるリリックです。
それぞれの年代を鼓舞し、背中を押し続ける力
東京のシーンを横目に地元札幌でTBHが(メジャーレーベルなどの力を借りず)自分たちの手でレコードを切り、そのレコードが話題となってシーンを駆け上がっていった話は有名ですが、当時の燃えたぎる闘志がありありと現れる1st, 2nd,アルバムのリリックは、周りに認められずに燻る若い世代を今でも応援し続けていると思います。
(当時のTBHがいかに衝撃的だったのかは以下の記事や動画をぜひ一読いただきたいです。)
孤憤
リリック:https://w.atwiki.jp/nofx/pages/124.html#id_a03c4dd3
STILL STANDING IN THE BOG
リリック:https://ameblo.jp/jakkou-3000/entry-11346111231.html
MAINLINE
3rdアルバム「LIFE STORY」は文字通り人生を歌ったアルバムで、BOSS THE MCはこの時36歳。自分自身や仲間のライフステージの変化を詩にすることが前までの作品と明らかに違います。YouTubeのコメントなどには「昔は良かった」などという意見が散見されますが、3rd以降のリリックのほうが(アラフォーの)自分には刺さります。
リリック:https://petitlyrics.com/lyrics/56579
RIGHT ON
リリック:https://s.awa.fm/track/653bb6a124dd10855f30
AND AGAIN
https://www.youtube.com/embed/tBSzZZWRA2M?rel=0
人生を折り返しを迎えた世代に対して「まだまだこれから」と背中を押してくれます。
THE BEST IS YET TO COME
リリック:https://s.awa.fm/track/5a81aa975f8ea8c8f114
今日無事
https://www.youtube.com/embed/7bNeUDSf1qs?rel=0
何気ない日常も当たり前なんかではない。今日も無事に過ごせたことに感謝しよう、と感じさせてくれるストレートなリリックが染み、北海道弁の「なんもだ」という言葉に毎度目頭が熱くなります。(気にすることないよ、気を使うなよ、みたいなニュアンスで日常的に使います。)
今生の別れ、そして新しい命への祝福
智慧の輪
Candle Chant
若くして亡くなってしまったラフラというラッパーへの追悼曲
リリック:https://www.musixmatch.com/ja/lyrics/DJ-Krush-feat-BOSS-THE-MC/Candle-Chant-A-Tribute
PRAYERS
東日本大震災の犠牲者への鎮魂歌。
このライブ映像の冒頭では、Candle Chantのリリックを自ら引用しています。
リリック:http://boshi.hatenadiary.jp/entry/2017/03/31/150829
LIVING IN THE FUTURE
Candle Chantを作ったDJ KRUSHと16年後に再び共作した曲。新しい命の誕生への喜びを感じます。
余談ですが2017年10月、日比谷野音でのライブではCandle Chantの次にLIVING IN THE FUTUREが演奏され、16年前から決まっていたかのような展開に鳥肌が立ちました。
リリック:https://www.musixmatch.com/ja/lyrics/DJ-Krush-feat-tha-BOSS/Living-in-the-Future
おわりに
THA BLUE HERBは昨年完成させた2枚組アルバム、30曲ものトラックを引っさげて各地のフェスにも出演してくれるはずです。ぜひライブに足を運び、彼らの音楽を体験してみてください。
※追記 2022年10月
THA BLUE HERB結成25周年記念ツアーの東京2日目を見終えました。やばかったっすね。改めて記事を見直し、加筆修正いたしました。
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