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好きな海外作家ベスト10

たまにはいい加減、映画やアニメじゃなくて小説もことも取り上げたいということで、好きな海外作家のベスト10を。読んだことのある作家はどれだけいるでしょうか。信用のできないブックガイドにもなればと思います。

10 レイナルド・アレナス

キューバ出身の作家。同性愛者であり反カストロであり、アメリカに亡命後自殺している。力強い越境者であり、その作風もパワフルの一言。個人的には自伝である「夜になる前に」がおススメ。

9 アントニオ・タブッキ

ポルトガルが大好きなイタリアの作家。「インド夜想曲」はポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアの存在感がインドという場違いでふさわしからぬトポスに充溢している。が、ペソアはそもそも場違いなぎこちなさ、異郷の感覚を詩に託した詩人だった。

8 ウィリアム・ギブソン

言わずとしれたサイバー・パンクの代名詞。何かが間違いなくここから始まった。翻訳された日本語で味わうばかりだが、とにかく文体がカッコいい。ジャーゴンやスラングのセンスも格別で、癖になること間違いなし。マトリックスもかなりここから着想を得ており、ザイオンなど共通のワードも出てきます。

7 テッド・チャン

SF界のスーパーヒーローと言っても過言ではないのではないか。どの作品も精密かつ入念に仕上げられており、付け入るスキがない。個人的には「理解」が飛びぬけて好きで「ヴィンダウス・エンジン」の寛解者の着想はここから来た。「あなたの人生の物語」収録の作品はどれも素晴らしい。「息吹」収録の「商人と錬金術師の門」もかなり好き。

6 ジョン・クロウリー

エンジン・サマーは地球上で一番好きな小説かもしれない。拙い恋心の記憶がくすぐられる。物悲しい結末は何度読んでもハッとする喪失感がある。SFファンタジーではあるが、どこかニューエイジ的な精神性も感じられてよい。「リトル・ビッグ」も好きだが、やはりこちらが勝る。

5 ジーン・ウルフ

読むことと書くことについて方法論的自覚と技巧を持った作家という側面と、物語に耽溺する少年のような無垢な心の持ち主という二つの顔がジーン・ウルフにはある。二つの性質は排斥し合うどころか楽しげ融合しており、彼の作品にはいつだって多幸感が満ちている。

4 フランク・ハーバート

フランク・ハーバートの作品は砂の惑星ひとつきりしか読んでいないが、それだけで十分なほどに入れ込んだ。人間とワームしか存在しない惑星アラキスの生態系や砂漠の民フレーメンの克己心など痺れるポイント多数。荒野に救世主が現れるというキリスト教的なフレームもわかっていながらテンションが上がってしまいます。

3 金庸

武侠小説の金字塔。これも説明不要の面白さでただ読んで欲しい、としか言えない。ただしアホな中二マインドを殺し切っていない男子がふさわしいだろうとは思う。江湖緑林の世界。無頼と仁侠、そして武芸の実力だけが支配する抽象的なファンタジー世界ではあるが、それだけではない。振り切った変態や狂人たちも蠢いている。ムカデの皮を向いてぷりぷりの中身を食べるシーンや、サメが毒で次々に連鎖的に死んでいくシーンなど荒唐無稽な名シーンは数知れず。難しく複雑になり過ぎた脳みそに少しIQを落とす意味でももってこい。

2 ウラジミール・ナボコフ

超絶技巧。テニスもチェスも上手い上流階級の文学者というイメージですけれど、「文学講義」と「ロシア文学講義」はどちらも必携の面白さ。ナボコフの繊細な分析が光る。ナボコフの小説は時に自分の才をひけらかすような華麗なレトリックに満ちているけれど、講義の中だともう少し彼自身のエゴが身をひそめてちょうどいい温度感になっている。

1 アルフレッド・ベスター

ぶっ飛んだ奇想が大好物。テレビなど小説とは別のメディアで活動していたというのもシンパシーを感じます。SF的な理論の構築するよりも、とてつもない想像力の奔出がこの人の魅力でしょう。「AKIRA」の元ネタになっているアイデアも無数に散見でき、日本のポップカルチャーもベスタ―なしでは語れないと思っています。


まとめ

やはりSF作家が多めになってしまったが、近頃の興味の方向性から致し方ないと思う。ジョン・ファウルズやスティーヴン・ミルハウザーやウィリアム・バロウズなんかも入れたかったけれどこんな感じになった。もちろんグレッグ・イ―ガンもサミュエル・ベケットだって大好きだ。ラドヤード・キプリングも!!!

同じことを繰り返しても同じランキングになるとは限らないと思う。それほどにどれも優劣つけがたいですね。

そのうち日本人作家とカクヨム作家の好きなランキングも発表したい。

リロード下さった弾丸は明日へ向かって撃ちます。ぱすぱすっ