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(5)医者の不養生

コンサルタント四方山話は
コンサルタントの役割やクライアントとの関係、
コンサルティング活動の留意点等をご紹介していきます。

さて、
“医者の不養生”という言葉があります。

・立派なことを言ってはいるが、実行が伴わないこと、
・分かっているので実行しないこと、
ですね。

これはコンサルタントにも当てはまります。

20代~30代は
ビジネススキル系の研修を
多く行っていました。

例えば、
ファイリング(文書管理)。

あるクライアントで
約1,000人の社員の
机と机の引き出し、
オフィスにあるキャビネット
保存用の書庫
を点検する経験をしました。

一人ひとり了解をいただいて
引き出しを開けてもらうのです。

雑多なものが入っているキャビネの奥に
誰かの出張みやげのウイスキーが入っていたり、
5mの高さまで積んであって
必要な時にどうやって書類を取り出すのか
考えてしまう書庫、
入社時からの毎年の手帳を
机の中に並べていた営業の方
など、
印象的な光景が今でも目に浮かんできます。

文書を削減し、保管状態を改善する運動を
1年以上展開しました。

夜になるとカメラを持って各オフィスを回って
机の上を中心に写真を撮って掲示しました。

いろいろ抵抗もありましたが、
改善は進み、
本当に貴重な経験となりました。

こうしたコンサルティング経験をもとに
公開セミナーを開発し
全国あちこちで実施していました。

さて、
ある時、こういう質問がきました。
「先生は自身の文書管理は
きちんとされているのでしょうね。」

嫌味のない言い方でしたが、
胸にズシっときました。

「自分でも実践する!」は
少しは意識していましたが、
この質問をもらってからは
本気で実践してみて
気づいたことをセミナーに盛り込もうと
考えるようになりました。

タイム・マネジメント研修でも同じです。

「先生は時間の使い方でどんな工夫をしていますか?」
なんていう質問は
いつでもあります。

タイム・マネジメント研修は
20代後半に始めたのですが、
ある会社で何と40分遅刻してしまう
というぶざまな失敗をしてしまいます。

真摯に謝り、
その後は「起きたことはしようがない!」
と切り替えて
そこからより良くしていく
しかないのですが、
そう簡単にセルフコントロールできるはずもありません。

が、
自分でやってみること
の必要性や重要性を
20代で実感するきっかけになりました。

その後、
日本にシステム手帳が入ってきて
ブームになった時期がありました。

いわゆる聖書(バイブル)サイズが標準でしたが、
ミニサイズからA5サイズまで
色々使って試して
仕事や生活にどう変化が起きるかを
考察していた時期もあります。

20代~40代までは
「悩みを解決する」というテーマが
自分事としても必要で
さまざまな本を読み漁って
自分でも試してみました。

40代以降は
マネジメント業務を行うことになり
目標設定や人事評価、人材育成等も
自分自身が研修で話していることを実践し
その中から大事なことを抽出することで
応用力を高めようとしました。

こうして振り返ってみると
コンサルタントが真に貢献するには
自身の実践が不可欠
と感じます。

ただ、
「名選手名監督ならず」
という言葉があるように
人には誰でも得手・不得手がある
わけですから
完全にできる状態には到達しなくても
専門性を磨くために色々と試し、
経験から学び
それを整理して
大事なこと伝えられるようにすること

が求められるのでしょう。

ビジネススキルから
自身の悩みの克服まで
“こういうアプローチをしたら、
どういう変化が起きるのかな?”

少しだけ客観性を持って実践する
のが
丁度よい距離感と思います。

経験が豊富になると
実践する前から
「あれはこうだろう」
と評価・解釈してしまいます。

基本として大切なことや
新たな試行は
少しずつでも
続けていこうと思っています。

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