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第25話 観察する

人材育成について、ちょっと立ち止まって考えています。
今回は「観察」を取り上げます。

何かを学ぶ時、「観察」が必要になります。
例えば、仕事のやり方を覚える時は
先輩の動作を観察し
見様見真似(みようみまね)で
身につけますね。

この時、目線の違いを意識する必要があります。
先輩が対象を見ている角度と
自分が対象を見ている角度が異なる
ということです。

先輩の動作を見て身につけるには
先輩の目線に立つ必要があります。

別の言い方をすれば
「自分がやるとしたらどうするか」
という感覚を持って観察する必要があるのです。

例えば
お客様への説明を
後輩の前でやってみせるとします。

その後に後輩に
「どうだった?」
「何を感じた?」
と聞いてみます。

すると後輩の答え方は
次の2つのパタンに分かれます。

パタン1.
「今回のお客さまは、うなづいて聞いていましたね。」
「いい感触だったと思います。」

パタン2.
「メリットをしっかり伝えるのが大事な感じですね。」
「先日の顧客とは異なり、使い方を丁寧に説明したほうが良いと感じました。」

パタン1.の部下は
先輩の説明を横で見ていて
無意識に「評価」しています。

パタン2.の部下は
説明の有効なポイントがどこにあるか
を考えて感想を言っています。

こうして比較すると
パタン2.のほうが
部下の成長につながりやすいと感じますね。

せっかく部下の前で演じてみせているのに
“いい演技でしたね”
という評価だけが気づきでは
育成面から言えば、がっかりする反応です。

パタン1.と2.の違いは
「次は自分がやる。」
という意識があるかないか
にあります。

さて、観察の観点で
より重要な視点があります。

それは
“見えないものを観察すること”
です。

動作であれば
目の前で繰り広げられていること
は観察できますが、
人材育成につながる観察は
それだけでは不十分です。

前述した「お客さまへの説明」の場合ですと
先輩の姿を見て
何が説明のポイントか
は発見できるでしょう。

しかし、
そのような説明をするために
「先輩がどのような準備をしてきたか」
は見えません。

説明内容を注意して聞いていれば
“なるほど、そこまで調べているんだ”
とか
“こういう点は頭に入って資料を見なくても説明できるんだ”
とか
気づくかも知れません。

しかし
それはごく一部と言えるでしょう。

先輩が日頃から
・どんな意識で
・どんなスタンスで
・何を大事にし
・何を基本動作・習慣にしていて
・どういう学習をしているのか
等、さまざまな観察と結びついて
お客様への説明を
理解することが大切です。

要するに
「価値観・行動様式」の観察
ということです。

観察には
(1)見えるものの観る
(2)見えないものを観る
という両面があります。

観察の意識や習慣は
個人や職場、会社によっても異なります。

皆さんは普段どんな意識で“観察”していますか?

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