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第16話 研修の意義

人は経験によって育つものであり、OFF-JT=研修はあまり効果がない、
という意見を時々耳にします。
と言っても、多くの研修を続けている企業が多いですから
研修が無意味というわけではなさそうですが、
講師を務める立場から言えば、
研修の意義をどう考えるか、は重要な問いです。

“できるだけ効果の上がる研修にしたい”
と思って取り組んできましたが、
その経験から言えば、研修には5つの意義があると思います。

1.日常から離れて自己を客観的に振り返る
OFF-JT=研修というと、スキルを学ぶ場ととらえがちですが、
実は「日常から離れる時間を作ること」に大きな意義があると思います。
忙しい時ほど、時々は仕事から離れて振り返ることが大切です。
研修は、普段と違う環境、相手、思考によって
リフレッシュする機会と言えます。
元気を取り戻せるなら、研修参加の意義は大きいと言えます。

2.学んだことを職場でどう実践するかを考える
「受講生に、何か一つ職場で活かせる“おみやげ”を持たせて欲しい。」
という要望をいただくことが何度もありました。
研修と職場実践をリンケージさせるということですね。
学んだことを実際の仕事の場面でどう活かすかを検討し、
研修の最後にアクションプランにまとめるやり方は
今でもポピュラーな方法と思います。

3.今後必要になることを「先行学習」する
昇進や昇格で立場や役割が変わることを見越して
予め学んでおくのも研修の意義と言えます。
経営的なものの見方を早めに学ぶというマネジメント面だけでなく、
営業、開発、製造・・・それぞれの専門性においても
「あらかじめ学んでおくと先々役立つ」
という事柄が必ずあるはずです。

4.仕事では学べないことを「補完学習」する
仕事にはそれぞれ特性があり、
今の仕事を一所懸命取り組むことで身につくことと、
経験では身につきにくいことがあります。

研修は「仕事では身につきにくいこと」
を補完する場として重要です。

分かりやすい例として、
仕事の中で文章をまとめたり発表したりする場面が少なければ、
企画力やプレゼンテーション能力は磨きにくいですね。
だからと言って放置しておくのは
自分の能力を開発する上では大変もったいないことです。

5.人生の大きな“きっかけ”を得る
「学校の先生の一言が、自分の人生に大きく影響した、
という経験のある人は手を挙げて下さい。」
と受講生に投げかけていた時期があります。
数年続けた感触ですが、300人に一人ぐらい手が上がっていました。

決して多いとは言えないですが、
人生に大きな影響を与えるきっかけになったという事実に
着目する必要があると思います。

研修も同じではないでしょうか。
講師の一言や受講生同士のやりとりが
人生に影響を与えることがあると思います。

これは確率で考えるべきことではないと思います。
300人に一人でも、自分にそれが起きるかも知れないのですから。

研修の意義を5つに整理してみました。
こうして考えてみると、
人がどのように育つか、何が有益か、という観点で
仕事の経験と研修を同列で比較することは
ナンセンスに思えてきませんか?

経験も大事、日常から離れた時間・空間・学びも大事。
どちらも人生にとって、大切な場です。

皆さんにとって、研修はどのような意義のある場でしょうか?

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