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第21話 意図的・計画的OJT

人材育成について、ちょっと立ち止まって考えています。
今回はOJTを取り上げます。

OJTはOn-The-Job Trainingの略。
職場内で実務経験を積みながら育てる人材育成アプローチを言います。

Off-JT=Off-the-Job Training、すなわち
職場や仕事から離れた時間や場所で行う教育・学習
=研修等と比べて、
OJTは育成効果が高いと言われています。

人材育成に関するインタビューを
ビジネスパーソンに行ってきましたが
ほとんどの人が「経験を積んで成長しました。」と話します。

しかし、単に経験を積むだけではOJTとは言いません。
「意図的・計画的であること」がOJTと言える条件です。

こう言うと、
「自分はそう意図的に育てられたわけではない。」
と言う方が多くいらっしゃいます。

確かに、仕事は育成のためにあるわけではなく
あくまでも業績を向上させることが第一義です。

しかし、
ひょっとすると人事や直属の上司が
「最初はこういう経験をさせて次は・・・」
という育成方向を意識して仕事を与え、
「そろそろこういう経験をさせよう。」
とタイミングを考えて経験させていたかも知れないのです。

経営幹部や管理職にインタビューすると
部下の成長を考えて仕事を意図的に与えている方も
少なくありません。

が、それが伝わっていないことも多いと思います。

さて、意図的・計画的なOJTは
以下のような実践ポイントがあります。

(1)OJTの考え方の明文化・説明
こう育てよう・・・という意図があっても
明文化もされず、説明もされなければ伝わりません。
あらかじめ伝わっていたほうが育成効果も高くなるでしょう。
管理職が自部署のOJTの考え方を明確にすることが
望ましいと言えます。

(2)育成者を定める
意図的・計画的OJTというからには
「育成する人」が明確になっていることが基本です。
OJTの実践は単に仕事を与えて終わりではなく
「教え・学ぶ人間関係」が必要です。

(3)仕事の育成的意味づけ
前述したように
育成だけを考えて仕事が割り振られるわけではありません。
退職者が出たための業務分担の変更などは
いつでも起こり得ることです。

育成的意味づけとは、
何らかの事情で担当することになった仕事を
本人の成長の観点で解説するということを言います。

例えば
「今回の担当は初めてだけど、
そろそろ新しいチャレンジが必要なタミングだから
いい経験になると思うよ。」

「今回の仕事では~を学ぶことができる。先々役立つはずだよ。」

「以前~のような仕事をしたい、と言っていたけど、
今度の仕事は~の点でそれに近いから
意識して経験して欲しい。」

等、仕事の特性と本人の成長を絡ませて解説するといいでしょう。

(4)期間を定め、記録に残す
OJTは漫然と行うのではなく、
期間を明確に定め、
その期間内の経験や育成者からの助言、
育つ側の学びなどを記録に残しておきます。

「記録に残す」ことは、「記憶に残る」
ことにもつながります。

自分が学んだこと、教えられたことを
記録に残しておくことは
成長のスピードにもいい影響を与えますし、
後日、自分が教える立場になったときの
貴重な参考資料にもなります。

OJTは育成の基本。
実践効果を高めるために工夫し続けることが大切ですね。

今回が2020年最後の記事となります。
お読みいただいたすべての方に
感謝申し上げます。

良いお年をお迎えください。

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