書評:しあわせ学習法 9フレーム
教材も授業もあるのだが、「どう勉強を進めていくか」についてはあんまり言及してくれない学校を選んでしまった。とりあえず教科書を読み返し過去問を解きながらよくわからない判例をつらつらと読む。そのうちに「こんな普通のことやってて合格できるんだろうか?」という思いがよぎってしまった。
そんなときに Twitter で見つけたのが、「9フレーム」だった。
■ 9フレームとは
「資格の大原」の自称カリスマ講師が編み出した勉強方法のこと。資格試験だけでなく、何かの目標を達成するためのフレームワークといったようなもの。
・ 心を創る
セルフイメージの構築→達成ルート設定→日常的メンテナンス
・ 時を創る
時間価値の尊重 → 学習時間の確保 → 計画・見える化
・ 技を創る
暗記 → 理解 → 記憶の喚起
これら9つを総称して「9フレーム」というわけである。
■ 概要
負の感情をいだいたまま勉強したところで、知識は定着しないし効率も悪い。だからまず心を整えましょう―心を創りましょうというのが1〜3フレーム。
具体的な成功イメージをもち、徹底的に脳に刷り込ませる。脳は知らないことを「不快である」と感じるので、ディテールまで細かく成功したときのイメージを創る。そのイメージを刷り込むことで「よく知っていて心地よい状態」であると思い込ませる。そこまでいけば、そのイメージを実現するための手段も好きになっていく、あるいは、好きであると自分をとことん騙していくことができる。人はなるべく「心地よい状態」でありたい生き物なので、それを実現しようとする。脳を騙す(心を創る)ことで目標達成にぐんと近くなるよというのがこの章の骨子。
特に社会人は、働きながら勉強しなければならないというディスアドバンテージを持っている。それならそれでスキマ時間やながら時間をうまく利用すれば良い。スキマ時間はスキマ時間なりの、腰を入れて勉強できるときもそれなりの時間の使い方や心構えを持つことでさらなる効率化を図れるよというのが、次の4〜6フレームの内容。
最後の7〜9フレーム目は、じゃあ、実現するためにどういう勉強をするかについての言及。多くの資格試験は「理解」よりも「暗記」できているかを求められることが多い。なのに「理解」に時間を割いていては受かるものも受からない。得点を上げるために何が必要か・何をなすべきかを念頭に置いてリソースを割いていきつつ、「記憶の喚起」をする時間をきちんと取ることで記憶の定着が進むんだということが書かれている。
■ 読んでみて
私は基本的に、宗教やスピリチュアル系といったものを受け付けない。特に、下手なラッパーあるいは中小企業経営者がドハマリする押し付けがましい「感謝」だの「ワクワク」だのというフレーズが出てくると、私は、鳥肌が立つ。
この本の半分以上のページには、いわゆる「圧倒的感謝で超ハッピー、常にワクワクを忘れないから人生楽しい!」的なエッセンスが含まれており、途中で読むのをやめようかと思ったほどだ。
とはいえ、心の状態が学習成果に影響を与えるであろうということは、確かにイメージはできる。そのために自分の脳を騙して常に「心地よい」状態を作っておくことが合格の第一歩であるというのも頷ける。これについては私もまずはやってみようと思っている。
時間管理や、「理解より暗記にリソースを割くべき」という話は自分にはグサッと刺さった。どうしても、知識を仕入れるときに「納得したい」という気持ちを強く持ってしまうという自覚がある。それは現段階では無駄だ。まずはがむしゃらに暗記をする・暗記したものを定着させてからでもおそくないよね、というのはよくわかる。
本書は、直接的な「こうやればいいよ」と書かれているようで、そうでもない。どちらかといえば、目標達成のために何をしなければいけないか・何を考えるべきかという指針を与えてくれる。好き嫌いは分かれるだろうが、得られるべきことはたくさんあったし、気付かされることもあった。
■ まとめ
個人的趣味嗜好から斜に構えたようなレビューになってしまったことは自覚している。その点は目をつぶっていただくにしても、何かの目標を達成するためのガイドラインとしての本書は非常に有益であるとは感じた。確かに、勉強方法としての方向性を考える切っ掛けにはなったし、紹介されている手法も(好き嫌いは置いておいて)十分に納得がいくものである。
資格試験のみならず、なにかを目標と置いてそれを実現しようとする人にお薦めはできる、が、かなり人を選びそうな本である点にはご留意いただきたい。
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