見出し画像

RPA とは何なのか(私見) #1

 DX だ RPA だ AI だと世の中は相変わらず大賑わいですね。さて、御社での導入はいかがでしょう。DX は進んでいますでしょうか?そもそも RPA に何を期待してらっしゃいますか ― などというこの手の話は、すでに語り尽くされているように思います。

 なのになぜ今更「私見」を出そうとしているのか。

 「私」は地方中小企業をメインのフィールドとして働いてきました。なんなら「自動化を成し遂げたためにクビになる」という稀有な経験もさせていただきました。

 なので自動化が引き起こす悲喜こもごもを人より少しは知っているつもりです。

 そんな「私」から見た「RPA」とは何なのか。まとめる意味でも語ってみたくなったと言うだけです。他意はありません。どなたかの参考になったのならば、とても嬉しく思います。

■ RPA の定義

RPAは、これまでの人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用した新しい労働力を創出する仕組み(Digital Labor)となります。
日本 RPA 協会設立背景 より)

 定義としては上記のとおりです。人間に変わる労働力を創出する仕組みのことを RPA と言います。少し砕くと「コンピュータによる労働力の創出」と「それを許容する会社の仕組」両方が必要ということでしょう。なるほど、この文章は大変に示唆に富んでいる。そう私は感じます。

 「各種ツールを使った業務の自動化」とそれを前提とした「会社の仕組」の両方が揃わないと、RPA とは言えない、あるいは、RPA ができない。

 そう、そのとおりです。どちらか一方が極端に先行すると、どんなに丁寧な根回しをしていたとしても「自動化でクビになる」なんて悲しい事件も生まれたりしますから。

■ RPA を導入する目的

 では、RPA を導入する目的はなんでしょう。業務の自動化と、それを前提とした仕組みを実現すると、何が嬉しいのでしょうか。

単純に、労働時間をへらすことができる。そうすると人件費が浮く。人件費が浮けば利益が増える。そう、利益を増やすためなのだ!

 …本当ですか?大抵のRPAツールでは「業務を効率化して人間にしかできないことに注力させることができます」なんて謳い文句がつきものですから、そう思われるのも無理はありません。でもそれって、業務効率化して時間が浮いた分、別の(単純ではないより高度な)仕事をお願いしたいということですよ。むしろ残業が増えて人件費上る可能性もあります。また、RPA ツールは結構効果ですので、期待したほどコストダウンにはならないかもしれません。

労務環境の改善、それに伴う競争力と採用力の強化をし、組織として強くなり、効率的な業務で売上づくりに注力し、市場を席巻して安定経営を実現する

  これならどうでしょう。定形業務などの無駄を省いて業務を効率化したい、それは究極的には、安定的な強い会社を作るためである ―なるほどこれなら納得ができます。経営側の視点であれば。

■ 現場では何が起こるか

 では、現場はどうでしょう。経営層の言わんとする目的はわかりますが、そも、現場は業務の自動化をされて嬉しいのでしょうか。

 代表的な定形作業は、単純作業です。これが減るということは、自分の業務はより複雑かつ高度なものだけが残ります。そして、前述のように、空いた時間で高度な業務を求められることになるわけです。

 最初のうちは「自動化スゴイ!便利!!」と言っていた人たちが、そのうち、「私の仕事が奪われる!」「逆に仕事が忙しくなったんだけど??」と言うようになり。そもそも自動化したのが悪いんだなどと RPA を呪うなんてこともよくある話です。結果、自動化を推進していた人は心を病んで退職するなどというのもよく聞く話です。

 目的をきちんと共有した。自動化の推進役もいる。現場で軋轢は出るだろうが大丈夫だろう ― という思惑は、たいてい外れます。

なぜでしょうか。

 「RPAとはなにか」を考えるに当たって、本当に考え、考慮する必要があるなにかがここに隠れてる気がします。掘り下げていきましょう。

ーーーーー

 文章がかなり長くなりそうなので、何回かに分けます。次回からは「RPA の失敗の原因」「文化的分断」「リスペクト」「RPAに社風が関係あるの?」「会社が取り組むべき仕組」「RPAが市民権を得るには」と言ったような話題になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?