見出し画像

障害者雇用義務はいつから発生する?

きっかけは関係会社からの問い合わせ

「たろうさん、うちの会社、社員数が40名くらいなんだけど、障害者雇用義務って発生するの?」今週、こんな問い合わせを関係会社の方からいただいた。

『ああ、いまの雇用率は2.3%だから、雇用義務はまだ発生しないですよ。』
義務となる雇用率はずっと一定ではなく定期的に変わるが、2022年2月現在の雇用率は2.3%で、ざっくり言うと43.5人以上の社員を雇用していると1名以上の障害者雇用義務が発生する。40名であれば、その基準以下なので、障害者雇用義務までは発生しないということになる。

「ふーんそうなんだ。でもギリギリだよね。そうするとあと4人入社したら義務が発生するの?それとも1月1日時点では40名だから今年は義務は発生しないの?」「あ、障害者雇用報告って毎年6月1日付でやるって聞くから、6月時点の社員数によるの?」

『・・・あれ?たしかにこの場合、雇用義務が発生するのっていつなんだろう。』
障害者雇用、法律は社労士試験で勉強したし、雇用義務が発生することは知っているけど具体的にどのタイミングで雇用義務が発生するか、認識できているようで認識できていなかったことに気づいた。

調べてみても意外と答えがでてこない

こんな風に意外と知っているようで知らないことが出てくることはよくある、だからといって落ち込む必要がなく、知らなかったことは調べればいいのだ。(分からないことの調べ方と知っていること、これも人事担当に必要なスキルだと思っている。このあたりも別の記事にしたいと考える。)

今回も同じように厚生労働省のページや障害者雇用の管轄であるハローワークのページを確認して「義務が発生する時期」について調べてみた。ただ、どのページや資料も、社員増で初めて雇用義務が発生するタイミングについては直接の記載がなかった。

結局具体的な情報に辿り着けなかったので、ハローワークに電話し、直接しつもんをぶつけることにした。

結論:社員数(常用雇用者数)が43.5人を超えたタイミングから義務が発生する

結論はこのとおりだ。「常用雇用者数が43.5人を超えた時から義務が発生する」。

ハローワークの担当の方の回答はシンプルだった。「それは1月とか6月とか関係なく、採用によって人数がそのラインを超えた時ですね。」

言われてみればそのとおりだと思った。人事としては月末月初の人数に着目したくなるが、法令・通達でそんなことは書いていない。であれば、月末月初問わず、その要件に該当したタイミングで義務が発生するはずだ。

改めて、以下のタイミングで常用雇用者数が一定人数を超えていなければ義務は発生しない、というのは誤りなので、注意しておこう。

  • 毎年1月1日

  • 毎年4月1日(多くの会社で年度始め)

  • 毎年6月1日(障害者雇用状況報告のタイミング)

とはいえ現実的な運用は?

とはいえ、会社によっては社員数が日々日々変動する場合、その社員数を都度障害者雇用用の常用雇用者数に変換するのは容易ではない。現実的なラインとしては、毎月1日の社員数を把握し、障害者雇用義務が発生するか否かをチェックするとともに、障害者をいつ採用してもいいような準備を進めていくことが現実的な対応だろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?