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仕事で学んだこと『企画3原則』②利益

"動機"、"利益"、"革新性"からなる『企画3原則』。前回の"動機"に続き、今回は"利益"についてまとめます。

「この企画が実現したら、どんな利益があるか」

企画をたてる際、ごく当然のこととして、"利益"がなにか見定めておく必要があります。いくら「3つのうち2つあればいい」といっても、3原則の中でこの項目を無視することはほぼありえません。やって損したのでは、たまりませんからね。

無視できない反面、わかりやすいのも"利益"の特徴です。ストレートに言えば「どれだけ儲かるか」を示すのです。とはいえ、「きっと1億円儲かります!」などとは言っても仕方ありません。

利益について考える際は、次の3つに注意が必要です。

注意1. 目先の金銭的利益以外も考える

いきなりですが、例外として金銭以外が利益になることがあります。会員サービスなら「会員が増える」とか、広く世間の注目を集めることで母体(記事企画なら雑誌全体、あるいは企業のブランドなど)の「イメージが向上する」、あるいは「凄い実力者と縁ができる」などなど。将来の利益と言い換えてもいいかもしれません。

目先の金銭的利益を無視していいわけではありませんが、併記できるならした方が良いので、企画をたてるときは「目先の金銭面以外で何か良いことは起きないか」と考える癖をつけておきたいところです。

注意2. コストを考える

例えば1000円の商品が1万個売れたら、1000万円の売り上げになりますが、利益はそこからコストを引いた金額になります。コストは商品によってさまざまですが、原材料、印刷代、人件費、輸送費などなどいろいろです。

気を付けなければならないのは、人件費。企画の遂行に費やす時間に比例して増加するため、「どれだけの規模になるかわからない」「いつまでかかるかわからない」というのではコスト全体を算出できません。

利益を導くためにコストを導く。そのために企画の仕様などを定め、曖昧な部分をなくす必要があります。見切り発車してはいけません。

なおアマチュアが金銭的コストを無視してなにかを作る場合でも、「本来なら人件費がいくらかかるか」を考えておくべきです。例えば5人のチームで1年がかりでゲームを作るとなると、そのぶん働いていたら学生でも計数百万円を稼げます。仮想の人件費を考えるようにしておくと緊張感を保てますし、アイディアばかり膨らみがちなときに冷静になり、企画の肥大化を防げます。

注意3. 理想の最高値を想定しない

おもしろいゲームを作る。きっと売れる。わりと大ヒットして100万売れて、10億円くらい儲かるはず! なんていう、上を見た"理想値"を語ってはいけません。企画を成立させるために導き出す必要があるのは、利益の最小値です。

ただ、いくら最小値といっても「飢饉と地震と津波とまた原発事故と戦争が同時にやってきた!」というほどの最悪の状況を想定する必要はなく、あくまで平時を想定してかまいません。

悩ましいのは、企画単体で「絶対に損しないように!」と締め付けて考えると無難な"小商い"しかできなくなることでしょう。時には大きな利益を夢見て賭けに出たいこともあります。

企業であればそんな場合に、着実に売れる企画A、B、Cに加え、賭けに出る企画Dを通す、ということがありえます。企画ABCの大きなプラスと企画Dの小さなマイナスをあわせて、総合的には損をしないようにするのです。

だからといって、「ぼくの企画は賭けに出る価値があります!」と言い張って"企画Dのポジション"を得ようとしても、チームを納得させることはできません。賭けに出る価値のある企画Dとは、"動機"と"革新性"が揃った『良企画』だけなのです。

(つづく)


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