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遅延時の対処法は3つしかない【プロマネの処方箋 #1】

プロジェクトにおいて、おそらく最も多く直面するであろう問題「遅延」。
遅れさせないに越したことはありませんが、遅れてしまった以上は何かしらの対策を取らなければなりません。
この記事では、プロジェクト遅延時に取り得る対策についてまとめました。

プロジェクトの遅延とは

まずは遅延とはどういうことか考えたいと思います。

遅延の規模

一言で「遅延」言ってもその規模は次のように様々です。

  • ある個人orチームのタスクが遅れた[小規模]

  • ある工程の完了が遅れた[中規模]

  • プロジェクト全体の完了が遅れた[大規模]

遅延の箇所

小規模の遅延でも、それが大規模な遅延に波及することがあります。
それは、「クリティカルパス」と言われる最もスケジュールがタイトなタスクの繋がり、このクリティカルパス上のタスクor工程が遅延した場合です。
逆にクリティカルパス上にないタスクの遅延であれば、大きな影響を受けずに済むこともあります。

遅延のタイミング

プロジェクトの前半での遅延と、後半での遅延では、取れる対策も変わってきます。後半になればなるほど、打てる選択肢が少なくなってくるものです。

以降この記事では、最も切羽詰まった状態である“プロジェクト後半でプロジェクト全体が遅延している”という状況を想定します。


遅延時の対処法

遅延について確認・想定したところで、ではどのように対処すべきか(できるのか)について紹介していきます。
記事のタイトルにもしていますが、遅延時の対処法は大きく3つに分類できます。

①リスケする

遅れたのならば、その分スケジュールを後ろにずらす。
最も単純でわかりやすい対策です。

②スコープを減らす

本来対応予定だった要件やタスクを減らして、スケジュールの短縮を図るやり方です。
「構築・改修する機能を減らす」など直接的なものもあれば、「冗長的なテストの一部を省略する」など成果物への影響を小さくするものもあります。

③パワーを増やす

遅延している工程・タスクに労働力を追加投入して、遅れを挽回するやり方です、「クラッシング」とも言われます。
「人員を増やす」というはもちろん、「残業を増やす」「休日出社する」といった既存メンバーの稼働を増やすのもこれにあたります。

対処法の組合せ・派生

基本的に、遅延時の対策は上記の3種類に分類されますが、現実的にはこれらの組み合わせや派生的な手法もあります。

  • ファストトラッキング
    教科書にもよく登場する手法ですが、工程を同時並行で進めることで前工程の遅延の影響を後工程に与えないという対策です。これは①(遅延工程の完了予定をリスケ)と③(同時並行で進めるためのマンパワーの投入)の組み合わせになります。

  • ツールの導入
    何かしら生産性を高めるモノを導入して改善を図る対策で、③の派生と言えます。ただ、このような対策は中長期的には効果が見込めても短期的に改善するのは難しいでしょう。


現実的な問題

取り得る手段は限定的

実際の現場では、①(リスケ)、②(スコープ削減)は許されないケースが多いです。
見方を変えると、できる限りの①、②は既に実施してしまっていて、もう③しか取れる対策がない状態とも言えます。

バッファという命綱
多くの開発現場では、コストやスケジュールなどの予備枠を「バッファ」と表現します。(最近ではビジネスシーンでも使われますが)
遅延を含めた問題発生時のために、潤沢なバッファを確保しておくことが、プロジェクト成功の鍵になりますが、これを食い潰してしまうといよいよ首が回らなくなってきます。
*バッファについてはまた別の記事で詳しくまとめます。

人員を投入したとて

いよいよ③(パワー投入)しか取れる手段がないとして、それをやって遅延が解消できるでしょうか?
残業時間を増やしている間はまだいいですが、人員を増やすとなると、追加人員への教育や環境準備などに時間がかかり、かえって遅延することになりかねません。
かの有名な「ブルックスの法則」です。

人員投入は効果が出るまで時間を要するので、早ければ早いほど効果的で、遅ければ遅いほど効果がないどころか逆効果になります。

早目の察知・対応こそがPMの真価

結局のところ遅延してしまってからの対応では、後手に回り続けてしまうのがプロジェクトです。
いかに早くプロジェクトの異常を察知して、迅速に対応できるかが、プロジェクトマネージャの腕の見せ所でしょう。

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