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睡眠学習機はスパイのツールだった。 英語なまりのコージ

勉強はしなくてはならないけれど、
睡魔はグングン襲ってくる。
でも、やっぱり勉強を・・・
でも、上の瞼と下の瞼がランデブー・・・
「あああ・・・オレは何て意志の弱い男なのだろう」
こう、自分自身を責めている人はアリだけではありません。
寝ている間に教科書が丸暗記できるような、
そんな機械があったらなあって、
一度は夢見たことあるのではないでしょうか。
それは、多くの人類の願いであるはずですね。
実は、そんな機械があったのです!?
またあ、そんなこと言って!
と背を向けたYOU。
まあ、話を聞いてください。
”ソ連で開発された秘密兵器”なるコピーで
G社やO社の学習雑誌に宣伝されていたのを御存知でしょうか。
その機械を、持っている人が
我らが”ほうれんそう”にも約1名いたのでした。
一階の一番奥の部屋の住人で、
貧乏下宿でタダ一人大型冷蔵庫を持っている、
その人は・・・梅ちゃんです。
ちょうどテスト期間中でアリは
「暗記・・・暗記・・・暗記・・もう、死にそう」
と、完全にグロッキー状態でした。
そんなアリの悲壮な状態なんて、どこ吹く風の梅ちゃんは
朝4時から6時30分まで新聞配達、
8時30分から午後3時まで学校、
午後4時から8時まで公民館で塾の先生、
午後9時から12時まで北新地のスナックで歌手兼バーテン、
という生活をしながら、合間に学祭の実行委員をやりながら
スーイスーイ単位を取って行くのでした。
梅ちゃんは、いつも電気コードが繋がっている枕で寝ていました。
たまたま、梅ちゃんの部屋でコークハイを飲んでいたコージが、
その不思議な枕を見つけました
「何・・・その枕は?」
梅「睡眠学習機や。知らなかった?」
コージ「ミー、知らなかった・・」
梅「ソ連で開発された秘密兵器で、スパイが
  これで複雑な暗号を学習したそうだよ」
コージ「007みたいね」
梅「たしかに、寝る前に、この枕にテープを
仕込んで寝ると能率いいなあ」
すぐに、試したくなるのがコージのいいところです。
コージ「レンタルさせてくれない?」
梅「いいけど、効果があるかどうかは
性格も関係あるそうやよ。頭が痛くなったら
使用しないようにって説明書にも書いてあるし」
ということで、コージは夜眠る時は、もちろんのこと
暇を惜しんで朝寝昼寝して、この睡眠学習機を利用しました。
つまり、寝る間も惜しんで勉強するのではなくて
起きてる間も惜しんで寝るようになったのです。
ある日、もうすでにテストのことを諦めてしまったアリが、
いつものようにフフフフフ・・・と
黒のキンキラリンのディスコスーツに身をかため、
鼻歌を歌いながら腰をフリフリ蝶のように
舞いながらコージの部屋に入ってきました
アリ「おっおっおっちゃん・・・何してるの?
感電するで・・・電気枕なんかして」
コージ「睡眠学習ね・・・007もこれで暗号を暗記した」
アリ「あやしいなあ・・また、高い金払って・・
この親不孝者・・・ほんと、どうしようもないオッサン」
コージ「ミーが、007になっても仲間にいれません」
アリ「ほんまに?それ効くの?ほんまやったら、ちょっと貸してなあ
おっちゃん・・・なあ・・・男の中の男やろ・・・007諦めるからなあ」
コージは、ヘソを曲げてアーチが架かってしまったようで
とうとうアリには睡眠学習器を貸さなかったようです。
それから数日後、
コージは、梅ちゃんの部屋をノックしました。
頭を抱えて苦しそうです
「イタッタタッタタタ・・・
毎日寝てばかりで、頭が痛くて痛くて・・・
アアア・・・イタッタタッタ・・・
どうも、ミーには不向きのようね。
テストは全然駄目で、ヘッドクラッシュ!!
アアア・・・もうノックアウトねえ
イタッタタッタッタ・・・」
頭を抱えながら苦痛の表情のコージは
睡眠学習機は梅ちゃんに返したそうです。
どうやらコージには、不向きだったようですね。
と、いうより、不要だったんです。
そんなことしなくても、コージは無意識のうちに教科書や分厚い六法全書を丸暗記していたんです。
 
ちなみに、その睡眠学習機を造っていた会社は現在も存在しますが、
全然、儲かっていません。
そこの社長さんは、
「近い将来、脳とコンピューターをテレパシーでつなぐ」
なんて言っています。
その初期モデルが未来のコージだってことはまだ誰も知りません。
 

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