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レースクイーンクラブ

久しぶりに省吾ちゃんから電話をもらった。
何でも省吾ちゃんは、サラリーマンを辞めて商売を始めるということだ。
私と省吾ちゃんとは同い年で、かつて、大阪駅前のビル地下のボイラー室でいっしょに宿直した仲だ。
省吾ちゃんは、とても若い女の子が好きだ。
だから、いまだに独身なのだ。こんな省吾ちゃんの気持ち理解できますかな?
省吾ちゃんのことを理解するのに、ぴったりのエピソードがある。
ボイラーの仕事をやっていた頃、少し見栄はりだった私は、有り金はたいて
Eクラブ。
バニーガールが、お酒を持って来てくれる。ちょっとリッチなクラブ。
ただし、バニーちゃんに手をふれることは禁止の会員になっていた。
ちょっと気どってみたかったのだ。
そのEクラブに、省吾ちゃんを連れて行くと省吾ちゃんは、バニーちゃんたちの虜になってしまった。
省吾ちゃんは仕事中でも私の顔を見る度に、
「今度、いつ、バニーちゃんの所行けるかなあ」
と上機嫌で尋ねるのだった。そんな省吾ちゃんの熱意に押されて、私と省吾ちゃんは月に2回から3回、バニーちゃんの所へ行ったものだ。
その後、私はボイラーの仕事から身を引いて予備校に勤めるようになり、省吾ちゃんと職場も違うようになった関係で、私の方は、すっかりバニーちゃんとはご無沙汰になっていた。
話によると、省吾ちゃんは、その後もバニーちゃんに会いに行っていたようで、いままで付き合った3人の女の子もバニーちゃん出身ばかりらしい。
さて、そんな省吾ちゃんが脱サラして始めた商売だが、意気揚々と駅前を闊歩する省吾ちゃんについて行くと何やらキンキラキンの看板が見えてきた。その看板にはF1レースが開かれる鈴鹿サーキットで見かけるレースクイーンが描かれてあった。
なんと、省吾ちゃんの始めた店は、女の子がレースクイーンのようなユニホームを着て、お酒を持ってくる店だった。
レースクイーンクラブ、略して、Rクラブ。
いかにも、省吾ちゃんらしい発想のクラブなのだ。
 

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