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断片集

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1,000文字前後の文章たち
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#日本タンポポ

本当だったら今頃、

 本当だったら今頃、クラスメイトの家で遊んでいる予定だった。家へ帰ってきて、母親へそのことを告げると、車で送って行くね、とか、お菓子持って行く?と聞いてくれた。しかし、クラスメイトの家が隣村だと知ると、突然何も喋らなくなってしまった。彼女はそんな母親の態度の変化に何かを感じ取ったのだろう、クラスメイトの家へ自ら電話をすると、用事ができたから行けなくなったと伝えた。一緒にポテチを食べながら、今日発売のりぼんを読む予定だったのに。  ゲンがウンチをしたので、来た道を戻ろうとすると

ゲンの散歩は私の日課で、ほとんど毎日連れて行った。

 ゲンの散歩は私の日課で、ほとんど毎日連れて行った。たまにサボりたい時もあったが、学校から帰るとすぐに気付かれて、庭から延々と続くゲンの散歩コールに根負けして連れていく。おやつを食べながら窓から覗いたら最後、「オ・ヤ・ツ、オレにも、くれ!」と言わんばかりに更に激しく吠えられる。リードを持って出ると、ゲンは狂喜乱舞して暴れ出し、なかなか首輪にリードを付けることができない程だった。そしていざ鎖を外すと、そのまま数百メートルの疾走が始まる。左には家の砂壁(ザラザラとして腕を擦ったら