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ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(第十七章)

NFTアートは、全く価値がなさそうなものに価値がつくという不思議なもの、という印象が強い。

NFTアートとして売られているものも様々だが、画像と動画にしぼって考えると、本質はメディアアートだ。

メディアアートを理解することは、NFTアートを理解することにもつながると思い、東京藝術大学の「メディア芸術史」の授業でテキストとして使用されている、ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」という論考を読み始めた。

「複製技術時代の芸術作品」が収録されている本は様々あるが、解説付きのがほうが分かりやすいと思い『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』を使用している。

ダダイズムの役割(第十七章)

本章ではダダイズムの役割についての解説となる。

ダダイズムは新しい需要を生み出そうとする過程で行き過ぎると同時に、映画の需要を育てたというものだ。

ダダイズムについてはほとんど知らず、最近読んだ『ロジ・コミックス: ラッセルとめぐる論理哲学入門』の中で、ラッセルがダダイズムの作品に幻滅するシーンが、ダダイズム、というかダダイズムへの反応を知る唯一のケースだ。

以下はまとめとなる。

・芸術の最重要課題は新しい需要を作り出すこと
 ・新しい需要を生み出す作業は、必ず目標よりも行きすぎる
・ダダイズム
 ・作ろうとしていたものは、大衆が映画に求めている効果だった
 ・作品に深く没頭させないことに重点→素材の価値を貶める
 ・ボタンや乗車券を使用し、作品に複製の刻印を押す→アウラが消滅
 ・非社会的な態度を教えるものに堕落してしまった、伝統芸術(深く没頭する対象)に対抗
 ・社会的態度として、「気晴らしによって心の憂さをまぎらす」ことが登場
 ・ダダイストたちは、気晴らしを保証するためにスキャンダルの渦中にデモンストレーションを行う←公共の怒りを買うものでなければいけなかったから
 ・魅力的な外見や、美しい響きから脱却し、触覚的な質の獲得→映画の需要を育てた
  ・映画の次から次へと移り変わるシーンをながめる気晴らし的要素も、触覚的といえる
  ・絵画の場合、人は静観へと誘われ、連想が生まれる
  ・映画の場合、画面が固定されることがないので、観客の連想の流れは中断される→ここに映画のショック作用がある

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