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クリエイター必見!押井守監督の『GHOST IN THE SHELL- 攻殻機動隊』(1995年)

何年経っても色褪せない名作アニメ映画として、押井守版『攻殻機動隊』は言わずと知れた存在。

この作品は一度観ただけでは味わえない魅力を持っていると言える。

映画『マトリックス』にも影響を与えた本作は、クリエイターたちにとってのインスピレーション源となるべきアニメ映画だ。

本作の面白さを論じる上で、以下の3つのポイントが挙げられる。

魅力的なストーリー

本作は、情報技術の進化や人間の欲望といったテーマを通じて、現代社会の問題や倫理について深く考えさせられる。

人間の身体の拡張や電脳化といったテクノロジーの発展は、私たちの生活を便利にする一方で、新たな問題や脅威をもたらす可能性もある。

作中では、人形使いやゴーストハックといった技術が悪用され、社会に混乱をもたらす。

これは、私たちが技術の進歩によって得られる利益と、それに伴うリスクや責任とのバランスを考えさせられる重要なメッセージだ。

ストーリーは次のように要約できる。

舞台は近未来で、電脳化やサイボーグの技術が急速に進化している世界。

主人公である草薙素子(通称「少佐」)は、内務省直属の組織「公安9課」に所属し、テロなどの犯罪を未然に防ぐ任務に当たっている。

彼女は外交官暗殺の任務を遂行する中で、認定プログラマーの国外亡命を斡旋する機会に遭遇する。

後日、外務大臣の通訳が電脳ハッキングされる事件が発生し、国際手配中の凄腕ハッカー「人形使い」の関与が疑われる。

公安9課は捜査を開始するが、容疑者たちはゴーストハックされており、人形使いの正体を突き止めることができない。

同時に、政府御用達の義体メーカー「メガテク・ボディ社」の製造ラインが稼働し、女性型の義体が作り出される。

しかし、義体は自動的に動き出して逃走し、公安9課の調査の結果、生身の脳が入っていないはずの義体の補助電脳に...

圧倒的情報量

本作のセリフ回しのなかには、思想や社会的な問題提起が含まれており、情報密度が非常に高い。

AIにおけるシンギュラリティや、情報ネットワーク上の存在であるハッカー「人形使い」といったテーマは、先進的でありながらも現実に通じるものだ。

また、物語の中では、個人の能力拡張というテーマが掲げられており、技術革新を追求する社会が「もっと、もっと」という欲求に駆られていることが描かれており、人間がどんな状況においても満足することができないという本質を表現。

それは、高度な技術が取り入れられた世界を描いており、高度な技術が人間の肉体にも組み込まれ、高度なメンテナンスを必要としている点からも明らかだ。

圧倒的表現力

個人的には「水」を使った表現描写が特に素晴らしいと感じた。

水溜りでの戦闘シーンの映像美や、光学明細のエフェクト技術、先進的な3DCGマップの導入など、セルアニメならではの表現力が存分に活かされている。

たとえば、光学迷彩で透明化した素子が白兵戦で相手を圧倒する場面や、水飛沫や波紋を通じて想像力を刺激する技法、水溜りに映った街角が雨によって波紋を広げて歪む描写など、驚異的な描写力が展示されている。

また、中国のダウンタウンと先進都市、日本文化をミックスした世界観や、難解なストーリーを分かりやすく解説する脚本力も優れている。

おわりに

この作品は、何度も見返したくなるほど完成度の高い超名作。

最初は日本ではあまり受け入れられなかったが、逆に海外で高い評価を受けることとなる。

特にアメリカのビデオチャートで1位を獲得し、日本でも人気が急上昇。

押井監督が「自分の色でやるから」という条件のもと、古典的なサイバーパンク小説を映像化した本作は、押井守監督の代表作であり、傑作の中の傑作と言える。

原作の設定やストーリー、テーマを忠実に踏襲しつつも、新たな要素を加えて普遍的な物語へと昇華している。

また、アニメでありながらもそのリアリティーに驚かされる。

押井守版『攻殻機動隊』は、多くの観客に長く愛される名作アニメ映画として評価されている。

その魅力は鮮烈なストーリー、圧倒的な情報量、そして豊かな表現力にある。

一度観ただけでは味わえない深みと魅力を持つ本作は、アニメ映画ファンやサイバーパンクの愛好者にとって必見の作品といえる。

未来の社会や技術の進化に対する洞察や警鐘を感じながら、『攻殻機動隊』の世界に没入してみてほしい。

その広がりと深みによって、新たな視点や考え方を得ることができるかもしれない。

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