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プログラミングに疲れたら、絵本を読んでトリップ『旅する小舟』
昨日6時間ほどプログラミングに取り組み、とても疲労感を感じた。
そんな時は無性に絵本が読みたくなってくる。
それはプログラミングが「ロジックの世界」なのに対して、絵本は「マジックの世界」で、脳の違う部分を使っているような感覚に浸れるからだ。
そしてよい絵本を読むことは、新しい刺激や発見を与えてくれ「不思議がる力」を養ってくれる。
この「不思議がる力」は、「問題を愛する」プログラマーにとっても重要なのではないだろうか。
今年はまだ1ヶ月しかたっていないが、今年読んだ絵本の中でダントツに面白いといえるのが『旅する小舟』だ。
読者を幻想的な旅に誘ってくれる。
『旅する小舟』とは
『旅する小舟』 は2020年の「NYタイムズ」と「ウォール・ストリート・ジャーナル」にてベストブックに選ばれた文字のない絵本だ。
物語は二人の人物が、大きな白い紙を使って「舟」を作るところからはじまる。
船出をし、マングローブが生い茂った森の中を進み、夜空一杯に広がる美しいオーロラを目撃し、海賊のようなものから追いかけられ…
海を渡る長い幻想的な旅を、読者も味わうことができる。
驚異的なのは60枚の絵で、一文字も文字が使われておらず、海を舞台にした幻想的な世界は、細部の豊かな表現で魔法をかけられたかのようだ。
何も説明がされない分、読み手の想像力が働く。
ショーン・タンはオーストラリアの絵本作家で、文字のない絵本の傑作『アライバル』など、大人向けの絵本作品で知られているが、そんな彼も本書を激賞している。
非常に特別な方法で素晴らしく異なって素晴らしい-ピーター・ヴァン・デン・エンデによる「それを漂わせて」は壮大な夢であり、細部まで素晴らしく仕上げられています。
著者について
著者のペーター・ヴァン・デン・エンデ(Peter Van den Ende)は1985年、ベルギーのアントワープ生まれで、なんと本作がデビュー作だ。
生物学研究を中退した後、カリブ海のケイマン諸島に移住し、珊瑚礁とマングローブのガイドをしていた経験を持つ。
そこでの経験が彼に本書にインスピレーションを与え、約3年の年月を費やして『旅する小舟』を完成させた。
彼の短いインタビューで、「フラジャイルでいることは、挑戦しないことの言い訳にはならない」という言葉が印象的だ。
インスピレーションの源
著者のインタビュー記事も見つけることができた。
紙の小舟が旅の途中で遭遇する風景や生き物のインスピレーションの源は、ありふれた日常の世界に触発されていて、彼が感じたり、愛したり、欲したり、経験したりすることから生まれているようだ。
各章にはテーマが存在し、たとえば、サンゴ礁は多様性への愛、マングローブ林は好奇心、南極は孤独、汚染は欲求不満など。
使っている道具は紙にインクペンとシンプルなものだ。
カラフルな水中世界を、白黒で表現した理由は『海底二万里』のイラストから着想を得たとのこと。
おわりに
一枚の紙で折られた小舟が大海原へと放たれる。
小舟が遭遇するのはとても奇妙な生き物たち、マングローブの薄暗い森、満天の星、オーロラ、氷山……
ペンだけで描かれた絵は、全ページ何度もくりかえし見かえしたい驚異の緻密さで、イマジネーションだけでなく、ネイチャーガイドとして働いて得た知識も融合したクリーチャーたちの造形が素晴らしい。
どのページも壮大な景色が広がっているからこそ、小さな紙の舟の心許なさと、世界の大きさと対比も浮かび上がってくる。
現在(2022年1月31日)一番安いのは英語版『The Wanderer』のKindleバージョンで、ぼくもこれを購入した。言葉のない絵本なので、違う言語の本でも内容は同じだ。
ティム・バートンやエドワード・ゴーリーが好きな人にもオススメの作品。
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