レビュー『日本のクリエイティブ・クラス』
クリエイティブ・クラスと聞くと、都市部で働く人を想像しますが、本書はいかに田舎で独創的に働くかを示唆した本。
正直なところ田舎に引っ越す気は全くありませんが、人生のバックアッププランとして、田舎暮らしについて考えようと思い、手に取りました。
せっかく田舎に引っ越すならば、会社づとめではなく、自分で仕事を生み出したいもの。
そんな術を考えるのにうってつけなのが本書です。
『月3万円ビジネス』や、本書にも登場している伊藤洋志さんの『ナリワイをつくる: 人生を盗まれない働き方』とともに、田舎暮らしについて考える本になりました。
仕事に困っている人やサラリーマン生活に閉塞感を感じている人、そして、地方への移住を考えている人におすすめです。
「ナリワイをつくる」では、個人レベルではじめることができ、自分の時間と健康を「お金と交換」するのではなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、なおかつ技が身につく仕事を「ナリワイ(生業)」と呼んでいました。
暮らしの中で需要を発見し、月3万円の仕事を作り、それを何本か持てば生活は成り立つということを提唱。
他者と競争せずに、生活と遊びの中で生計を組み立てていく方法論が新鮮でした。
本書では、様々な成功例が紹介されるので、読んでいるだけでビジネスアイディアがわいてきます。
また、退屈を面白くする方法や、支出を楽しく削る方法といった、生活と仕事のつくりかたが参考になりました。
特に、パンは田舎で需要があるが、教育の場が意外と少ないことや、本の価格が上がるまでストックしておく激安家賃の倉庫で保管するといったことが興味深かったです。
(本は発売後に3年程度たつとアマゾンで1円で売られるようになりますが、7,8年後には価格が上昇するとのこと。本書では、そのあいだに本をストックしておく700坪の巨大な倉庫を、月たったの7万円で借りている事例が紹介されていました)
本書は2015年10月にひらかれた、「どう創る、中山間地域の『しごと』――地方創生の実践」をテーマとしたシンポジウムの内容を収録。
仕事と遊びの間に線をひかない、柔軟な働き方と豊かなライフスタイルを創造する若者たちに焦点が当てられています。
田舎暮らしは「人付き合い」が一つのハードルになると思いますが、覚悟があれば、田舎暮らしも楽しそうと思わせてくれる本でした。
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