【書評】トミー・ウンゲラー『コーモリのルーファスくん』
1931年にフランス生まれの世界的に有名な絵本作家、画家であるトミー・ウンゲラーの作品。
シンプルな絵で文字も少ないのに面白い。
昼はほらあなで眠り、夜の世界しか知らないコウモリのルーファスくんが主人公。
好奇心から、昼間の世界にあこがれて眠らずに朝を迎え、いつも住んでいる場所から外に出ることに。
そこでは太陽とともに表れる色鮮やかな世界が溢れていることを驚く。
そんな色とりどりの世界と比べた時に、自分の体の黒さに嫌気がさし、たまたま見つけた絵の具で体をカラフルに塗ることに。
それがきっかけで招いたトラブルと新たな出会いがルーファスくんを待っている。
アマゾンのレビューでは、ライフルが登場するシーンについて子供用の絵本としてふさわしくないという意見が上がっていたが、ぼくは全く気にならなかった。
自分らしさとは?友だちとは?
そんな大人も抱える問題を、子どもにも分かりやすく語ってくれる絵本だ。
それになによりも、シンプルな絵で物語を伝えるトミー・ウンゲラーの構図力のセンスにはいつも感嘆させられる。
同じ著者の名著『すてきな三にんぐみ』のような心地よい読後感に浸れる作品だ。
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