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時間管理の再定義:『限りある時間の使い方』

「結局人生は有限なので、何でもかんでもできない。だから、今やれること、やりたいことに集中しよう」ということを教えてくれるのが本書。

時間の使い方を通じて、選択に悩むこともきっと減るはずなので、目の前の選択に悩む人にオススメです。

生産性の幻想

本書の注目すべき強みの一つは、時間と生産性に関する根深い信念に疑問を投げかけています。

著者は、忙しさと生産性工場を追求することの不毛さを暴露し、ゆっくりとしたペースで生活し、境界や限界を設定し、自分の価値観にあった、本当の充足感をもたらす活動を優先すべきと言います。

まずは時間が有限であることを認識し、平均的な人間の寿命が約4,000週であるという現実に直面するよう読者に促しています。

そして、従来の「生産性志向のアプローチ」から、より心地よく、「目的を持った存在」へのシフトを促しています。

著者の語る「生産性の幻想」には説得力がありました。

日々のスケジュールにタスクを無理に詰め込むことで、生活の質が低下することが指摘されています。

なので、時間を大切にし、自分の価値観に合致し本当の満足感をもたらす意図的な活動に焦点を当てることが必要となってきます。

また、やることに制限をくわえつつ、やらないことを決めることは、創造性や生産性を高めることも指摘されています。

時間を有限な資源と認識することで、意識的な選択をし、本当に自分にとって重要な活動を優先するようになります。

安易に不必要な約束をしてはいけないと学びました。

また、自分のやるべき時間を最初に確保することや、進行中のタスクの数を制限といったテクニックのほかに、「判断や選択に悩んだときに役立つ質問」も書かれてあります。

たとえば仕事をやめるかどうかについて悩んでいる場合、「その仕事を続けることが人間的成長につながるか?それとも続けるほどに魂がしなびていくか?」といったもの。

こういった質問をなげかけることによって、ひとつの判断基準を与えてくれます。

統合された生活

仕事や生産性を軽視することを提唱しているわけではありません。

代わりに著者は、「統合された生活」を提唱しています。

これは、仕事、人間関係、個人的な成長など、さまざまな領域が調和し、相互に補完し合う状態を見つけることを意味します。

著者のアプローチによって、読者はより充実した人生とバランスの取れた生活を創造することができます。

「仕事と家庭のバランス」といった現実的ではない均衡を追求する代わりに、生活の乱雑さを受け入れ、さまざまな領域が共存し、互いを補完するようなアプローチを取ることを奨励しています。

具体的には、時間の豊かさを育むことが重要です。

これは、時間配分において「自由で豊かな感覚を体験」することを意味します。

ゆったりとしたペースで生活すること、今という瞬間を味わうこと、深い集中力を養うことがあてはまります。

さらに著者は、「反省、休息、余暇」のための時間を意図的に作り出すことで、幸福感を高め、創造性と想像力にアクセスすることができると主張します。

おわりに

まとめると、本書は時間との関係についての深い考察と刺激を与えてくれます。

本書ではまず、従来の時間管理の常識に新たな視点を提示。

生産性や効率性の従来の概念に疑問を投げかけ、読者に自分たちの限られた時間をどのように使うかについて意識的な選択をするよう促してくれます。

哲学的な洞察と、実践的な戦略の独自の組み合わせによって、生活に「意味と目的」により価値をおく、新たな視点を提供。

時間を意図的に選択し、真に重要なことへの優先順位づけ、充実した人生を送るためになにをしたらいいかを考えさせられます。

果てしない生産性の追求を超えて、より意味のある「目的志向」を受け入れるために、この本は必読といえます。


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