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世界で活躍する方法 by 村上隆

コロナ禍の2020年に行きたかった展覧会の一つが、森美術展にて開催されていた「STARS展」。

STARS展とは、世界が認める現代アートのトップランナー6名その初期作品と最新作をつないで見せる展覧会です。

コロナの影響で残念ながら行けなかったため、村上隆さんのアーティストトークをYouTubeで見ました。

どんなものかと興味津々で視聴しましたが、内容が濃くてびっくり。

村上隆さんの芸術家としての歩みや考えてきたことが凝縮されています。

この記事では村上隆さんのアーティストトークから、ぼくなりに抽出した「世界で活躍する方法」を紹介します。

自分なりに考えて行動する

村上隆さんが動画の中で頻繁に口にするワードは「自分なりに考えて」という言葉です。

この言葉が試行錯誤の多さを物語っています。

村上隆さんは29歳の時に日本で現代美術家としてデビューしました。

当時から「世界に出ていくアートは他と何が違うのか」を考え、周りの人たちに聞いていたそうです。

しかし残念ながら満足のいく答えが得れなかったが、アートは経済活動であるという仮説を立てて、資本主義の中心地であるニューヨークへと行くことに。

しかもその時には親戚からお金を集め、他に借金(レントゲン研究所で2回展覧会を開いた際の250万の借金)も抱えていました。

実際に現場に行って自分の目で確認し、肌で感じることは大切です。

彼がニューヨークで気づいたことは、芸術=資本主義ということで、資本主義とは日本人アーティストがとりつく島がないということ。

そしてワールドアートの流れは反資本主義になっていたということ。

そこで、食玩を無料で配ったり、Tシャツもアートにしたりと色々な活動を開始します。

また、ボブ・フラナガンの展示を通じて「見せ物小屋・ポルノ」という着想を得て、代表作「マイ・ロンサム・カウボーイ」や「ヒロポン」が生みだされました。

自分で試行錯誤し、実際に行動にうつす大切さを教えてくれます。

アート市場のルールを理解すること

村上隆さんが現代アートを理解するのに、参考になった本が紹介されていました。

それがこちらの2冊。残念ながら古本しか販売されておりませんが、一応リンクを貼っておきます。

この本から学んだことは、「アートシーン」と「アートワールド」があり、歴史を超えて残る「アートワールド」のほうが上であるということ。

そして、ニューヨークで実際に学んだことは「文化にはルールが必要」ということです。

芸術は感性のまま作品を作ればいいというわけではなく、文化にルールがあるからこそ、ルールに則ることにより世界で認められるようになります。

さらにすごいのは、現代美術のルールも変わっていくので「オリジナルなルールを作ることも可能」ということ。

GAFAも新しい市場やルールを作っていったからこそ繁栄しているのであって、本当に芸術=経済なんだと思いました。

アメリカのルールで印象的だったのが「アメリカでは弁護士に投資しないと勝てない」という言葉。

弁護士に費やすお金を増やし、弁護士のグレードもどんどん上げていっているとのこと。

これもアメリカのルールを理解したからこその戦略です。

マーケティング

村上隆さんが世界のアート業界で生き残るために貫徹してやっていたことは「マーケティング」

当時急先鋒だった、ジェフ・クーンズ、シェリーレビン、マイヤー・ヴェイズマン、リチャード・プリンスたちがやっていた「シュミレーショニズム」のようなタイトルが必要と考え、「スーパーフラット」というコンセプトを立ち上げ、日本のアートを紹介するようになりました。

当時村上隆さんのお弟子さんばかりを「スーパーフラット」の傘の中で紹介しており、批判が多かったそうです。

しかし、各々のクリエイターは主義主張が強く、一枚岩になるためには主義主張が一致した人たちと一緒に仕事をしなければいけないことに気づいたそうです。

また、「オリジナルティの欠如」、「日本文化のパクリ」という批判に対して、「影響をうけてオリジナルとして出すことははパクリじゃない」と返されています。

どうやったらオリジナリティって言えるのかというのは、デジタル化、複製化の進む現代において切実な問題で、この言葉はオリジナリティを磨くヒントになります。

まとめ

自分なりに考えること。文化のルールを理解すること。マーケティングの重要性について見てきました。

村上隆さんのお話は、実際に経験されたことを話されているので、こちらも聞いていて楽しいです。

経験したことのないことをあたかも経験したことがあるように語る人が多い中、実際に世界で活躍している村上隆さんの言葉を、こんなに簡単に聞けるようになった時代に感謝しかありません。

展覧会の公式図録は以下。

内容は6名の世界で活躍するアーティストたちがいかに時代を反映し、日本を伝え、そして受容されたかを、作品、展覧会史、受賞歴、批評文などの資料から振り返るというかなり濃い内容です。

それぞれの作家が「世界的共感を得た理由」を言語化してあるので、とても勉強になります。

村上隆さんに興味のある方はこちらの2冊もおすすめ。

どうやら出版当初、日本のアート業界から批判が殺到し物議を醸したとのこと。

両方とも読みましたが、世界で戦う上での考え方が学べます。

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