永い後日談のネクロニカ:ドール構築論(制御編)

はじめに

 上の記事で、大まかにドールにどのような役割が存在するかを説明した。今回は4種類の役割の中から制御役のドールの構築について考察していく。
 なお、上の記事ではルールブックにあるマニューバのみの構築例を載せたが、今回以降はサプリ「歪曲の舞踏」にあるマニューバも使用していく。

制御役の役割

 ネクロニカにおいて、一般的に手駒は姉妹よりも多数で徒党を組んで襲いかかってくる。撃破役が1対1での戦闘に特化しているのに対し、1体多の戦闘に特化したのが制御役であり、定義としては撃破役よりも射程の長い攻撃マニューバ、もしくは全体攻撃を所持している事である。
 射程の長さや全体攻撃などの条件があり、撃破役よりも構築は縛られる。
基本的にアタッカーであるため、火力を出す条件などは前回撃破役について解説した際と基本的に変わらない。
 詳細は以下の撃破編に書いたため割愛するとして、大まかに言えば
火力の高いマニューバを使う、攻撃回数を増やす、状況に左右されないの3点が基本である。

 今回は、制御役だけに求められる、撃破役とは異なるポイントに絞って解説していく。これらは全て迅速に雑魚を殲滅するために必要な能力である。
①遠くまで届くようにする
 これは制御役として最重要と言える要素である。撃破役の手の回らない部分をカバーし制御役の役割を全うできるかどうかは、奈落を攻撃できる手段があるか否かにかかっていると言って過言ではない。
 射程の長いマニューバを採用するか、あるいは高い機動力を持つことで容易に地獄や奈落へ到達できるようにすることが考えられる。
 しかし初期作成ドールで攻撃手段とけもあしやロケットパックなどの強力な移動マニューバを両方取得できるかというと難しい所だろう。姉妹の支援によって到達する形であっても、目的が達成されるならば問題ない。指揮役のPLに相談してみるといいだろう。

②複数の敵に攻撃できる
 連撃であったり、低コストで連発が効くようなマニューバであれば最低限の役割は果たせるが、基本的には全体攻撃が欲しい。逆に高コストの対単体マニューバは向かないと言える。白兵は災禍、射撃ならアンデッドガン(と一応マシンガン)、砲撃はダイナマイトが全体攻撃のできるマニューバであり、肉弾は全体攻撃がないため制御向きではない。
…ゾンビボム?あれは攻撃マニューバではない。

③集中して高い火力を出しても良い
 
全体攻撃マニューバはそうでないマニューバと比べて単発の威力増加の効果が大きい。時として攻撃回数が増えるよりも1回限りのダメージを優先したほうが目標の殲滅が早いこともある。特に白兵はそもそも災禍で全体攻撃が1度限りしか撃てない事などもあり、撃破とは異なる”全力の一撃に全てを賭ける”ような構築も実用的と言える。
 とは言っても、行動値に勝る効果を出せるマニューバはそう多くはない。行動値を使わないダメージ増加マニューバやコスト対効果の大きい支援マニューバなどを行動値より優先して取得してもいいが、行動値を確保して攻撃回数を増やすのも当然有用である。

構築方法

 ポジション選択

 ポジション選択はアタッカーである以上基本的に撃破役と同じ選考基準でいい。撃破との違いとして、一撃重視スタイルも有効である事、撃破役よりも広い状況で火力を発揮したい事などがある。
 そのため、手負いの獣の始動が遅かったり地獄の住人が場所に縛られたりするジャンクは優先度がやや下がり、修羅と業怒によって一撃の爆発力に優れるホリックの優先度がやや上がる。オートマトンの安定感は変わらず。

 クラス選択

 クラス選択は撃破よりも縛られがちである。
 白兵を使うのであればメインクラスはタナトスで災禍が必須である。その上で死神と殺劇のどちらを取得するかは姉妹の構成と相談する必要がある。
 射撃は撃破と変わらない。レクイエムで子守唄と銃神が必要である。
 砲撃においてもダイナマイトが武装3である以上、武装を持つクラスの取得は避けられない。シナジーが少なくスキルの取得には迷うところだが、逆に考えれば姉妹を支援する余裕があると見る事もできる。
 サブクラスに関しては、撃破とは少々趣が異なる。
ステーシー
 変わらず安定
の選択肢である。スキル選択も撃破と何ら変わらない。

タナトス
 価値は上昇している。白兵においては災禍の取得が前提条件であるため、殺劇と死神を両立するにはサブタナトスしかない。また、射撃でも白兵でも改造2が制御においては非常に強力である。一方、姉妹に大量に支援してもらって大きな一撃を放つ動きが強力であるため、刹那の取得には慎重になっておきたい。

ゴシック
 制御向きではない。背徳の悦びによって災禍を再利用できる点は他にない強みであるが、如何せん武装の強化値がないために白兵向きではないというミスマッチを起こしている。

レクイエム
 射撃のサブクラスとしては変わらず有用である。アンデッドガンで撃ち漏らしても魔弾ショットガンで仕留められる安定感もある。

バロック
 肉弾しかできないため論外。

ロマネスク
 制御のサブクラス向きではない。
ガントレットは取得できるものの、改造の白兵マニューバは軒並み射程0であり、肉弾は制御では使いづらい。

サイケデリック
 論外…と言いたいところだが一応虚空の玉座によって支援を受けつつ妨害を無力化することが可能。撃破よりはその価値は高いが、強化値を1損失するほどではない。

 マニューバ選択

 役割の①~③と、自分の使いたいマニューバの攻撃タイプを考慮してマニューバを選択していく。
 白兵攻撃を使うのであれば、災禍による一発勝負であるため、一撃の威力は非常に重要である。また、大量の支援や威力上昇マニューバを載せることになるため、切断か爆発はあった方がいいだろう。射程の短いマニューバを用いる場合は姉妹に機動力を確保してもらえればなお良い。一撃の威力を上げるには武装2の有刺鉄線、改造1のボルトヘッドやジェットノズル、改造2のスパイクなどが有用である。コストは嵩むものの、撃ち漏らすよりはましと割り切って運用することになる。これらを行動値に変えると撃破の側面が強くなってくるが、早いカウントから動けるというメリットも大きい。姉妹の支援の量と相談である。
 射撃攻撃であれば、ほぼアンデッドガン一択と言って差し支えない。何度でも放てるため、撃破同様に出目や攻撃回数を稼ぐのが総火力は高い。しかし迅速な殲滅のためには一撃の威力を増すマニューバの採用も視野に入り、特に改造2のスコープは特筆すべき強力な支援マニューバである。
 砲撃攻撃はダイナマイトしかない。出目のマイナス補正が曲者であるが、姉妹の支援が期待できるのであればスコープなどの支援の採用も考えていきたい。一発が大きいので回数投げる構築も驚異的だ。大失敗に泣くな
 どの程度のダメージが期待できるかを求めるためにダメージ計算式を使用できるが、制御においては多少強引に支援や振り直しをして帳尻を合わせる事も多いので、撃破ほどには期待値は重要ではない。

構築例

 上に挙げたような点を踏まえた構築の例を紹介していく。なお、基本的に制御構築は撃破を兼任する。

例①白兵
ポジション:ホリック…加速する狂気
メインクラス:タナトス…死神、災禍
サブクラス:ステーシー…失敗作
武装:3…カンフー、有刺鉄線、単分子繊維
変異:1…しんぞう
改造:1…ジェットノズル
 基本編でも紹介した撃破兼任型のドール。射程を犠牲にしても殲滅力を優先する場合は攻撃手段を名刀に変えるなどの手がある。

例②射撃
ポジション:ホリック…修羅
メインクラス:レクイエム…銃神、子守唄
サブクラス:タナトス…殺劇
武装:3…カンフー、ショットガン、アンデッドガン
改造:2…ボルトヘッド、スコープ
 強力な支援マニューバを大量搭載して強引に大成功する型。破壊力は高いが、どうやって殺劇を載せるかは姉妹と相談する必要があるだろう。

例③砲撃
ポジション:オートマトン…無茶
メインクラス:タナトス…殺劇、刹那
サブクラス:ステーシー…失敗作
武装:3…カンフー、火炎瓶、ダイナマイト
変異:1…しっぽ
改造:1…リミッター
 低い出目を無茶で強引に命中させつつ、ダイナマイトを沢山投げる型。味方を巻き込みそうな時は火炎瓶に切り替えていく。支援よりも妨害を警戒し刹那を取得しているが、無茶しすぎて基本パーツを枯渇させる恐れはある。

おわりに

 制御の構築は基本的に全体攻撃を必要とする関係上型に嵌りがちである。また雑魚掃除というある種地味な役回りとなり、全体攻撃の取り回しの悪さなどからも初心者向きとは言えない。しかし派手な一撃で雑魚を蹴散らす無双感(や、それ故にNCに警戒される事)に関しては右に出る者はいない。
 戦術を考え、手駒を纏めて吹き飛ばす爽快感を味わいたい人にお勧めと言えるだろう。

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