永い後日談のネクロニカ:強いマニューバとは?

はじめに

 永い後日談のネクロニカをある程度遊んだプレイヤー(NC含む)は、皆ある事を知っている。
それは、ネクロニカはマニューバ間の強さのバランスが偏ったゲームであるという事である。
どのマニューバが強いか、を感覚的に理解している方も多いであろう。
何しろ強いマニューバは明らかに強い。

 しかし、いざどのマニューバが何故強いのかを説明しようとすると、答えに窮する方も多いのではないかと思う。
何しろネクロニカというシステムは、一見シンプルなルールながらその戦闘の実態は複雑怪奇なのだから。
 そこで今回は、ドールがアクションで使える攻撃マニューバの強さに関して、極めて簡略化しながらその強さを定量化する事を試みようと思う。

※2020/9/3 射程の評価を改訂

評価方法

 今回、筆者は攻撃マニューバの強さを定量化するために、評価スコアを算出する関数を考えた。以下がその計算式である。

スコア=((威力+射程+出目)*切断or爆発+その他)*連撃*全体攻撃*12/コスト

 以下、それぞれの要素に関して説明していく。

①威力
 読んで字の如くマニューバの基本火力である。当然、大きければ高評価。

②射程
 威力と同じくらい重要なのが射程距離である。何しろネクロニカは移動にかかるコストが重いため、如何にその場から動かずに手駒を狙えるかは火力に直結する。
今回の計算式では射程そのものではなく、そのマニューバで射程0のマニューバと比べた時に狙えるエリアの数がいくつ多いかを用いる。
つまりエリアが5つしかない関係上、射程3以上は溢れるため評価できないのだが、実戦において射程3以上の対象を狙う事は稀であるという考えから今回はそれで通している。

③出目
 ネクロニカをプレイしたことがある方は出目が非常に重要である事はご存知だろう。出目は命中率であり、大成功すれば火力にも直結するのだから。
火力の期待値としては大体出目1では0.5程度の上昇なのだが、大失敗しなくなる事や大成功すればサヴァントに対して命中部位を選べるなどの戦術上の意義も考慮して出目+1のマニューバは威力が1大きいものと同等、逆に出目‐1のマニューバは威力が1小さいものと同等とした。

④切断or爆発
 言わずと知れた強力な追加効果。ホラー、レギオンに対するダメージを倍増させ、サヴァントに対しては切断は一部位を一撃で全損させる可能性があり、爆発は隣の部位にもダメージが入る。今回は簡略化のために単純に①~③のスコアの合計を倍増させるものとする。

⑤その他の効果
 切断、爆発及び後述する連撃、全体攻撃のどれにも属さない効果。
主に転倒。直接火力に寄与することは無いものの、手駒に不利を与えて戦況を有利にできる。マイナスの追加効果もある。
 今回は④までの処理を終えた後、追加効果の数だけスコアに加算する。

⑥連撃
 命中すれば連撃の回数だけ同じ攻撃を行える強力な効果。もちろん当たらなければ無意味なのだが、単純に複数回殴るだけでなく狙う対象を変えたりする小回りも効き、何より連撃にはラピッドで割り込まれないなどメリットは多数。
 今回は簡略化して⑤までの合計に連撃を含めた合計攻撃回数を乗算する。

⑦全体攻撃
 エリアにいる全ての対象に攻撃が命中する。味方も巻き込むため撃ちにくい事も多く、使い所は難しくなるが非常に強力。
 今回は平均二体に命中するとし、⑥までの合計を倍増する。

⑧コスト
 どれだけ威力が高かろうと、撃てないマニューバに意味はない。⑦までに求めた効果がコスト比でどれだけになるかが今回のスコアの基準となる。
 ⑦までの合計をコストで割る…だけでは分数が登場してしまうため、今回対象となるマニューバの一番大きいコスト4までの最小公倍数12を利用し、⑦までの合計をコストで割って12倍したものを、最終的なスコアとする。

⑨ポテンシャル
 ⑧までで求めた武器のスコアは何のスキルも乗っていない状態のマニューバであり、それぞれに伸びしろが存在する。それを乗算の要素(④⑥⑦⑧)のみを取り出してポテンシャルとして表現する。

評価結果

 上にあげたスコアを用いてネクロニカのルールブックと公式サプリに存在する全てのアクション攻撃マニューバを評価した結果が以下の表になる。

画像1

 経験則から強そうなマニューバのスコアが高い事は分かると思うが、下に優先して取得すべきマニューバとそうでないマニューバを挙げていく。

優先して取得すべきマニューバ
 単発であれば現在スコアが高いもの、キャンペーンであればポテンシャルが高いものが強いと言える。
 まず全てが最高値の単分子繊維は最初から最強の上強化した場合の伸びしろも最強という事になる。
火炎放射器火炎瓶はそれと同等とも言えるレベルに達しているのだが、砲撃マニューバを強化できるマニューバが少ないために折角のポテンシャルが腐りがちである。しかしそれを差し引いても主力を張れる能力はあると言えるだろう。
 射撃マニューバは子守唄を取得することでコストが減少し、ポテンシャルが増加する。特に元から強力なショットガンアンデッドガンはポテンシャルが24、つまり単分子繊維と同値に達する。出目が減少するため同スコアとはいかないが、肉薄すると言って良いだろう。
 このあたりまでが最強クラスのマニューバである。

実用レベルのマニューバ
 その下、どこにラインを置くかは人それぞれであるが、概ね30台以上のスコアのもの、特にその中でポテンシャルの高いマニューバが一軍レベルのマニューバである。アフリカ投げナイフやランチャーはスコアが高いがポテンシャルが低いため強化していくと芝刈り機、名刀、にくへびに追い越される可能性が高いことが分かる。
 その下、スコア20台のマニューバもメインウェポンとして運用可能なレベルだろう。この中ではライトセイバーが非常に高いポテンシャルから30台のマニューバを追い越せる可能性が高く強力と言える。
 スコア10台のマニューバはそのままでは少々非力と言わざるを得ない。ポテンシャルが12ある群は強化していけば主力を張れなくもないだろうが、基本的にはサブウェポンである。

取得すべきでないマニューバ
 
スコアが10台かつポテンシャルが一桁のマニューバは強化しても碌な戦力にならない。特にポテンシャルが4の物は伸びしろでこぶしにすら劣る
 ちなみにジョギリや熊撃ち銃、対戦車ライフルは実用レベルに入っているが、ポテンシャルがないためにキャンペーンでの取得は避けた方がいい。

おわりに

 今回作成した計算式はあくまでマニューバの強さを比較するための指標であり、ダメージの絶対評価ではない点に注意してほしい。射程を換算している時点で今更ではあるが。
 そもそも、これまでの議論をすべて否定するようではあるが、NCはドールの強さに合わせて手駒の強さを調整する義務がある以上、最低限の火力があれば戦闘で勝てないなどという事態は起こり得ず、PLは好きなマニューバでドールを作成する権利があり、またそうすべきである
 それでも取得するマニューバに迷ったときに参考になれば幸いである。

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