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ブルージーなジェイクは末永く聴ける深さがあった 『Badlands』 BADLANDS
私にとってジェイク・E・リーとは「Shot in the Dark」のMVでクルクル回るシーン(見る度に「うひょー、かっこいいー!」と声が出ます)が象徴的で、キャッチーでありながらも決して弾きやすいわけではないリフと、誰もが弾いてみたくなるギターソロを見せてくれる華やかなギタリストであり、周りでもコピーしている人が多く人気がありました。
そんなジェイクがオジー・オズボーンのもとを離れ、自らのバンドBadlandsを結成、1stアルバムをリリースしたのが1989年です。
当時はブルース回帰の波が起き始めた頃だったでしょうか、このバンドでのジェイクもそれまでの華やかさとは縁遠いヴィジュアルで、ギタープレイもブルージーなものになっているとの情報を得て、「まずはレンタルで聴いてみよう」と考えたのを覚えています。
高校生だった私にはブルース=地味(場合によっては退屈)なものであり、音を確認することなく購入するような冒険はできず、当初はAXIAのテープに録音して聴いていました。
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確かにブルージーと表現するべき曲が並んではいましたがそこはジェイク、リフのかっこよさはそのままでした。
最初から ⑴ High Wire や ⑸ Dancing On The Edge 、⑺ Hard Driver などのハードロック然とした曲は大好きでしたが、繰り返し聴くにつれて ⑹ Streets Cry Freedam や ⑻ Rumblin’ Train 、⑼ Devil’s Stomp といったブルーステイスト溢れる曲のカッコよさに気がつきます。特に ⑹ の2:58からのリフ、展開には今でもシビれまくりますし、⑻ の入りの渋さ、⑼ のアコースティックからのリフには悶絶します。この展開にジェイクと共に突き進むグレッグ・チェイソンのベースとエリック・シンガーのドラムも気に入っています。
ドラムは2ndでジェフ・マーティンに交代します(Racer Xのうまくないヴォーカルという認識だった私は彼のドラミングに驚愕しました)し、バンド的にも世間的にもジェフの方が良いとされていたように思いますが、バンドとしての音はエリックが叩いた1stの方が私は好きです。
そして、改めて聴いてみて感じるのは、いかにレイ・ギランがこれらの曲を良くしているかということです。
⑷ Winter’s Call なんかはレイあってこその曲(いま聴くとこんなにもサイケデリックなところがあったのかと驚きます)だと思います。彼がHIVで1993年に亡くなっているのはとても残念ですし、当時のレイの状態に関する様々な記事を見ると、ジェイクがしばらく音沙汰なしになってしまっていたのも無理はないのかもしれません。
本作でのジェイクは確かにオジーとの2枚に比べればブルージーではありますが、そこにはジェイクならではのセンスで南部テイストやサイケまで様々な要素が取り込まれたハードロックになっていて、私にとっては今でも通して聴ける1枚です。
Badlandsは3枚のアルバムを残してくれているのですが、どういうわけかSpotifyにありませんし、YouTubeでも公式なものは見つけられませんでした。iTunesストアにもありませんので、今となってはレンタルか(大阪ではK2レコードが閉店してしまいました…)、どなたかがUpしてくれている音源か、中古盤で入手するのしかないのかもしれません。見つけた時にはぜひ聴いてみてほしい1枚です。
ジェイクはその後、ソロで『Retraced』(2005年)というカバーアルバムを出し、Red Dragon Cartelというバンドを結成して活動を再開してくれています。再びギターを弾く気になってくれたのは何よりです。
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