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“2000年代も全然悪くない” と思わせてくれた 『By The Way』 RED HOT CHILI PEPPERS

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)もすっかり大御所になりましたね。

ジョシュ・クリングフォッファーがジョン・フルシアンテの代わりに加入したのはつい最近のことだと思っていましたが、あれも2011年のこと。再びのジョン電撃復帰から既に2枚リリースされている現在、本作『By The Way』(2002年)は大昔ってことになりますね。おじさん、気絶しそうです。

彼らのデビューは1984年ですから、私の年齢なら「最初からずっと聴いてました」と言えたらかっこよかったのですが全くそんなことはありませんで、ミクスチャーとか呼ばれていた彼らの音楽やチ◯コソックスがどうにも苦手でした。当時の私は彼らをいわば「キワモノ」扱いしていて、しっかりと聴かずにいたのです。

『Californication』(1999年)でその印象はガラッと変わりましたし、そこには様々な物語も加わってバンドの代表作になったと思いますが、私がとにかく繰り返し聴いたのがその次の『By The Way』でした。

⑴ By The Way でアンソニーのヴォーカルが聴こえてきた時、「誰、これ⁈」となったくらい、その声の美しさと優しさ、歌心に驚いたのです。

もちろん、既に『Californication』でアンソニーの歌の良さを感じていましたし、それ以前にだって “Under the Bridge” があるわけですが、本作における彼の歌はその何倍も素晴らしく、ラップすらもその歌唱を際立たせるものとして存在しているかのように感じたのです。

そして、ジョン・フルシアンテの存在感がエゲツない。そのギターワークはもちろんなのですが、シンプルなトーンがかえって美しい…。ジョンによるヴォーカル・ハーモニーも大幅に増え、それまでのファンク/ラップを携えながらアルバム全体を通じて骨太なロックが鳴り響きます。

というのは、本作ではフリーのベースとチャドのドラムが思いのほか、普通なのです。レッチリと言えばフリーのファンキーなベースラインいうくらいでしたが、その個性はそのままながらも抑制が効いていて、それに合わせるかようにチャドも淡々と叩いている部分が多くなっています。そのビートの心地よさは尋常じゃないんですが、これが曲(メロディー)の良さを際立たせています。

⑷ Dosedでのメロディ、ヴォーカル・ハーモニーの美しさやギターソロの哀愁はいつ聴いても堪りません。いい歌だなー。ケレン味のない音作りが効果を発揮しています。


⑹ The Zephyr Song も、この時代には久しく聴かなかったキャッチーで美しいサビに、当時は「まさかレッチリで “ロックにメロディが戻ってきた” と感じるとは」と、感慨深くなったものでした。


もちろん、⑴ By The Way や ⑺ Can’t Stop みたいな曲は“らしさ満点”でノリノリなわけですが、そこでもやっぱりハーモニーが効いています。

タイトルを見ればその言葉を含むメロディラインがすぐに浮かんでくる曲ばかりで構成される隙の無さには感動するばかりです。ジョンが復帰して2作目、バンドのクリエイティビティが爆発している瞬間を聴くことができたのは幸運でした。

もし60年代、70年代のレジェンド達が、全盛期のまま2000年に舞い降りてレコーディングしたらこんな音になっていたかも?と妄想してしまうくらい、素晴らしいバンドサウンドが鳴っています。

「2000年代のロックも全然悪くないな」と、心から嬉しくなったアルバムだったのです。

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