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関西で実験施設付きオフィス 医療系スタートアップ育む

 三井不動産は、2024年6月29日に大阪・中之島にオープンする未来医療国際拠点「Nakanoshima Qross」の3~5階に、関西圏で初となる「三井リンクラボ中之島」を開設します。これは、賃貸オフィスですが、実験機器を置いたり、共同の実験設備を備えているもので、創薬や医療系のスタートアップ企業の入居を前提としています。

 オープンデスクやコワーキングスペース、会員制コミュニケーションラウンジなどがあり、特に医療系スタートアップにとって重要な専門性が高いコミュニティの形成に配慮しています。こうした賃貸物件は、実験設備があることと、専門性が高いコミュニティが大きな特徴です。

5階のシェアラボ。ロビーから共有機器室を望む(提供:三井不動産)

薬品を使った化学分野や細菌などの生物を扱える実験施設をウェットラボと呼びます。オフィスとウェットラボを賃貸するのは、米国では珍しいことではありません。賃貸オフィス・ウェットラボは、大学発ベンチャーが多いこともあり、ハーバード大学やMITがある米国・ボストンに集中しています。三井不動産は本場・ボストンにも賃貸オフィス・ウェットラボを展開しています。

大和ハウスも神戸で賃貸オフィス・ウェットラボ

大和ハウスのウェットラボを中心とした賃貸ラボ施設の外観イメージ
(出所:神戸市記者発表資料)

 関西圏での賃貸オフィス・ウェットラボの展開は、三井不動産だけではありません。大和ハウス工業も神戸市の「神戸医療産業都市」に基づき、ポートアイランドにウェットラボを中心とした賃貸ラボ施設を2026年11月に開設する予定です。大和ハウス工業は「本施設は幅広い研究ニーズに対応した機能性の高い設備計画とともに、施設内のコミュニティ構築を図ることで、入居企業の事業拡大をサポートいたします」とコメントを出しています。

 三井不動産は、創薬や医療分野のスタートアップ企業を育成するための取り組みを進めています。植田俊社長は、社長就任前に東京・日本橋で大学などと提携して創薬・医療系(ライフサイエンス領域)のコミュニティ形成と賃貸オフィス・ラボ事業を新規事業として立ち上げています。関西では、2020年に大阪・道修町に、ライフサイエンス領域の企業関係者や研究者のための交流拠点「ライフサイエンスハブウエスト」を開設しています。

 ライフサイエンス領域の事業は、2024年4月から専門組織を立ち上げており、国内外で取り組みを進めていく方針です。

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