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三井不動産と東北大 仙台で新産業創出の場とコミュニティづくり

 三井不動産は、4月26日に東北大学の「サイエンスパーク構想」の具体化に向けた協業を発表しました。現在、宮城県仙台市の東北大学青葉山新キャンパスの約4万㎡の敷地では、「サイエンスパーク」の整備が進行中。その第1弾として、4月1日に「国際放射光イノベーション・スマート研究棟」と、産学連携拠点「青葉山ユニバース」の運用を開始しています。

 東北大学が強みとする「半導体・量子」「グリーン・宇宙」「ライフサイエンス」「材料科学」をはじめとする学術領域ごとのコミュニティを拡大しつつ、業界や領域の垣根を超えた交流・連携を加速させるための会員組織を新設します。今回の協業で、「東北大学サイエンスパーク構想」の愛称を「MICHINOOK(ミチノーク)」、新設する会員組織の名称を「MICHINOOKコミュニティ」に決定しました。

 2024年4月9日には、次世代放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」が本格稼働する予定。三井不動産は、まちづくりやコミュニティ形成を通じた産業創造のノウハウ・知見を「サイエンスパーク」の整備に生かしていく方針です。

 今回、両者はパートナーシップを結びました。まず、東北大学との共同研究を実施する企業や、「ナノテラス」の利用企業、スタートアップに加えて、先端技術開発に挑戦する幅広い企業から、研究開発部門特有の多様かつ精緻な声を収集します。そして、「サイエンスパーク」に必要な機能や求められるコミュニティなど、「共創の場」の具体的なあるべき姿を検討するとしています。

 また、東北大学が強みとする複数の学術領域において、国内外の多くのステークホルダーを呼び込むことで、コミュニティの拡大と共創の加速。さらには学術領域の垣根を超えた交流・連携を実施。産学連携を通して「イノベーションを生み出す」コミュニティを形成・運営するとしています。

大学との結びつきは深く進行

 さて、ここまで発表資料を基にまとめてみましたが、ここからは少し視点を変えていきます。別の記事でも触れていますが、近年、不動産会社と大学の連携は加速しています。研究分野においての協力は、不動産会社にとって研究棟などのハード整備はもちろんですが、テナントである民間企業と大学を結びつけることで、自社のオフィスなどに付加価値を付けるという側面が大きくなっています。

 今回の協業もこうした流れの一環ですが、2023年には三菱地所と一橋大学が共同研究契約を締結して、「空間」の価値創造による社会課題解決に取り組んでいます。イノベーションは、多くの企業が求める成果ですが、基礎研究を行っている大学との協力が不可欠であることが意識されるようになっています。

 こうした背景もあり、不動産企業と大学の結びつきは多くの人が想像するよりも深く進行しています。

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