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三井不レジ 新築「億ション」も高い人気に 東京・中野駅周辺で進む再開発

 東京・中野駅周辺は、複数の再開発が進行しており、その景色を一変しようとしています。三井不動産と三井不動産レジデンシャルは、複合再開発「パークシティ中野」で整備する2棟のマンション「パークシティ中野 ザ タワー エアーズ」(総戸数545戸、2025年12月下旬竣工予定)と「パークシティ中野 ザ タワー ブリーズ」(総戸数262戸、2025年12月下旬竣工予定)の事前予約案内会を5月3日から完全予約制で開始します。

 販売対象は約100人の地権者分を除いた401戸。7月中旬の第1期1次で販売する「エアーズ」(80戸)の価格は、1億2000万円台〜4億円(間取り2LDK〜3LDK、専有面積54・80〜125・12㎡)で、最多価格帯は1億5000万円台、平均坪単価で約700万円と高額です。なお、「ブリーズ」の販売予定は未定となっています。

「パークシティ中野」の工事現場

 「パークシティ中野」は、スーパーマーケットなどが入居予定の商業施設・オフィス棟「中野M−SQUARE」と住宅棟で構成。JR中野駅と歩行者用デッキでつながる予定で、住宅棟は新設予定の北口改札から徒歩4〜5分に位置します。

 販売サロンは、東京メトロ丸ノ内線・都営大江戸線の中野坂上駅から徒歩1分の「ハーモニータワー」11階にオープン。完全予約制のサロンには、代表的な間取りの2つのモデルルームを用意しました。完成予想模型はないですが、完成後の全体像や各住戸の間取り、周辺5キロ圏内の情報などを3Dグラフィックで再現するシステムで案内します。

 2023年9月にホームページを公開し、エントリーは4月23日時点までで1万件を超えています。このうち4月上旬からプロジェクト説明会動画を視聴してアンケートに回答した人が事前案内会の予約対象となり、5月下旬まで予約は満席と人気が高いです。エントリーした人の属性は、30〜40代でDINKS、ファミリー層など2、3人の世帯構成、世帯年収は2000万〜3000万円となっています。中野区からは15%程度で、都心部など幅広エリアからエントリーがあったとしています。

猥雑さと新しさの共存はできるのか?

中野駅から見る「住友不動産中野駅前ビル」と「中野ステーションレジデンス」

 4月24日に、報道向けに公開されたのが、住友不動産が手掛けるオフィス棟「住友不動産中野駅前ビル」と賃貸マンション棟「中野ステーションレジデンス」(394戸)です。建物は既に竣工済みで、駅とは歩行者用デッキで直結しています。

 JR中野駅周辺では、官民一体で11カ所もの再開発プロジェクトが進行しています。中野駅周辺では工事の仮囲いがそこかしこにあり、掲示板には中野区によるまちづくり事業の一覧を掲載しています。昨年、50年の歴史に幕を閉じた中野サンプラザ周辺は、野村不動産など5社によりホール・オフィス・住宅・商業・ホテルなどで構成される複合施設が開発される計画です。

中野駅前にある掲示板

 中野駅周辺は、アーケードの中のサンモールから中野ブロードウェイにかけて広がる、ラーメン屋、飲み屋、漫画・アニメショップから高級腕時計まで、振り幅の広い猥雑さが大きな魅力。その魅力で、外国人観光客も多いエリアです。その一方で、古い建物が密集した街並みは、火災や地震の危険性が高く、中野区は「東京の新たなエネルギーを生み出す活動拠点」と位置付けて再開発を進めています。

 東京には猥雑さが魅力になっているエリアが多くあります。「せんべろ」の街で知名度を上げた京成立石駅周辺でも、駅の高架化、葛飾区庁舎移転と併せた再開発事業が進行しています。このケースでは、猥雑な街並みがなくなることで、「せんべろ」の街の良さが失われるのではないかとの危惧があるのも事実です。都心部の再開発とは異なる課題があります。

 街の魅力でもある猥雑さと、新しさをどう共存させていくのか、中野駅周辺のまちづくりは、その答えを探る上での先行事例として注目していきたいと思います。

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