ゲーム研究:ELDEN RING(6000字)

書き溜めたあれやこれやをストックの限り放出するものです。
人間さん、ゲームを遊んでいて、消費者様として「これはなんかちゃうな~」と思うこと、多々あるでしょう。しかもそのレビューを見ることも結構あることでしょう。今回はそういう人のために、僕のゲームの面白さの分析とやらを垂れ流していこうと思います。
タイトルによっては10行で、ししおどしがカコーンするときの水のごとくちょろっと流して終わってしまうのですが、やる気がなかったんだなだと思ってください。もしくは当時の僕のお腹にサナダムシが住んでいたか。

よくわからなかった

正直、このゲームに関しては全然面白さが分からなかった。多分感性がずれているんだと思うが、Sekiroとブラボ、フロムの最新作テイストに近いのが遊びたかったのに、出たのは回避と通常攻撃のメリハリを大事にするアクションというより、武器から出る必殺技で敵と戦う大味なゲームだった。
言い換えれば、1つの武器を極めて立ち回りを鍛えるより、色々な武器を試して敵との相性を見た方が楽に倒せてしまうのだ(この相性というのはハメ技に近い。戦技を使って安全圏から攻撃することが多い)例えば大剣二刀流はジャンプして殴るだけで簡単にハメが成立してしまうし、これが通じる敵は結構多い。相当多い。竜王もこれで死ぬ。
これにより、回避と通常攻撃のメリハリ、みたいな従来のフロムアクションの持ち味が薄まってしまうことが残念だった。オープンワールドゲーということもあり、様々な解法を認めていたのだと思うが、個人的にはダクソシリーズの戦技レベルで良かったように思う。対人で意表を突くためのもの程度で、いつもはあんまり使わない、ぐらいの強さで。

あとド終盤(ラダゴン付近)は通常回避で戦うには判定が広く、パリィが必須になるような戦闘が多かった。というか相手のターンが長い。僕の腕が鈍っているかもしれないが、パリィが必須になるようなものはブラボだと聖杯ダンジョン(やり込み要素)でしかなかったので、レベルデザイン的にもちょっと違和感を覚えた。やはり通常回避に拘るのは縛りプレイ、ということなのだろう。でもFP使ってハメることの何が面白いんだろう。木人殴ってるのと変わらなくないか?しかも武器強化めんどいから色んな武器試すわけないし。

俺がズレているのか、みんながおかしいのか

自分だけがズレていない世界。
ちなみに、このゲームのEDトロフィー取得率(エルデの王)は20%である。戦士ホーラ・ルーだけで見れば40%なので、ラスボスでそこから半数が息絶えたということになるのかもしれないが。
(追記:ゲームのクリア率は30%ほど、という一般論もとい経験則が出ているようで、これはトロフィー機能の出たPS3の時代から変わらないそう。エルデンリングも、この法則に囚われていることになるため、後ろの方の議論はエルデンに限ったことではないが、クリア率が高いゲームも存在する(龍が如くシリーズはその最たる例だろう)ため、欠点は欠点として話していきたい。)

結局、全体の80%~60%はどこかしらで投げているため、一般的に高評価はつけられないはずだ。手放しで「高難度とバランスがしっかりしていてサイコー!ワオ!フロムアクションスゴイ!」とは言ってはいけないと思う。20%しかクリア出来ないのなら、何かしらに欠陥を抱えていると思ってもいいはずだ。
ちなみにSekiroの一心様を倒したユーザーは30%おり、ダクソ3の火継ぎは25%、ブラボはメルゴーの乳母が25%となっている。これで、『みんなクリア出来てないけど、なんか面白いゲームらしいよ!』という評判が出つつ、クリア出来ないのに買ってしまう謎の人間が大多数を占めるということが判明した。

でも、売れているのは事実だし、高評価を寄せている人たちの意見も沢山見ておいて損は無いと思う。とりあえずコアユーザーが集まるSteamのレビューから。

神ゲーです。
ですが、人によっては同じビルドで数十時間やってると敵の攻略がパターン化して飽きが来る可能性あるので、ステ振り直しで色んなビルド試しながら攻略するのおすすめです。
(Raineko氏、当時19.5時間プレイ、執筆現在333時間)

アクションどへた、の私でも時間とレベルを上げればクリアできました。
350時間以上。レベル224
敵を倒した時のアドレナリンぶっしゃーは最高です
(ueda.m1024氏、当時395時間プレイ、執筆現在447時間)

エルデンリングは私にとって忘れられないフロムゲームです。ダクソシリーズやSEKIROの良さを受け継ぎながら、巨大で神秘的なオープンワールドを作り出しました。探索と冒険の楽しさに浸りました。ゲームの隅々には驚きと危険が隠されており、敵はそれぞれ特徴と弱点を持ち、ボスは試練と挑戦です。死んで生まれ変わり、学んで成長し、ゲームが与えてくれる達成感と満足感を感じました。(後略)
(Emet-Selch氏、195時間プレイ)

ダークソウルもSEKIROも遊んでいないけど気になっていて、でも過去作を今更…シリーズ途中からプレイは…と尻ごみしていた時に発売されたのがこのエルデンリングでした。
ほぼ初フロムでしたが、敵は強くて道は複雑と確かに難しい……
しかし強い戦技や助けてくれる遺灰、特効アイテムやいっそレベルを上げまくってゴリ押し攻略することも可能だったので下手
な自分でもクリアまで遊ぶことが出来ました。
しかし一週目でレベルを160とか上げ過ぎてガチガチに防御を固め、当時反則級に強かった赤獅子の炎でのハメによりマレニアもあっさり倒してしまったのはあまりに勿体なかったとか後悔もあったり。
(Ruika氏、181時間プレイ)

プレイスタイルやプレイスキル、ロールプレイに応じて様々攻略な攻略ができるのはもちろん、他ゲーではなかなか感じられない達成感を味わえます。自分はシングルプレイゲームを探している死にゲーが苦手でない方には是非にとお勧めしたいです。
ただ1点だけ気になる点がカメラワークが終わっています。
中でも中~大型ボス敵のロックオン位置がプレイヤーキャラの身長より上のみ設定されている時、それらに接近戦を挑む時かなりカメラが激しく動く場合があり、これが非常に不快です。このゲームの接近戦の基本の一つに相手のお尻側に張り付くように裏を取る戦い方がありますが、これをそれらの敵に行うと相性が最悪です。
グルングルンカメラが回ります、そして死にます。繰り返します。ALT+F4
(NEKOdeTORA氏、当時205時間プレイ、執筆現在225時間)

なげえ!

みんな長文お気持ち出しすぎだろ。
ざっとまとめると、
・初フロムユーザーを食い物にしている+俺たちコアゲーマーはとりあえず買っておく(これはマーケティングの話かも)
・レベルを上げたり、遺灰を使えばある程度攻略は可能、多くのパターンを試して攻略するのが楽しい
・強いボスを苦労して倒すと嬉しい(ハメの解法は後悔の念が生まれる)

こんな感じだろうか。不評の方も見たが、
・オープンワールドゲー特有の移動時間(僕はあまり感じなかった、馬が強い)
・大味なバランス(戦技、魔術、バフ)斧槍二刀流などの極端に弱いモーションなど
・周回時の難易度調整が雑
・武器強化が細分化されすぎており、複数武器を試す気が起きない
・集団戦による難易度調整が多い。複数ボス、複数雑魚を用意しすぎで、戦技があるから何とかしてね~という手放し感を受ける
・敵を使いまわすことで特別感が消える(特にアステール。説明文と矛盾しないでください……)封牢ボスもうじゃうじゃ出るし、雑魚も固有雑魚が居ない。
敵のターンが長い。モンハンで言えばアグナコトルのように、こちらは攻撃できないが相手に攻撃される時間が長く、一瞬没入感がなくなる(良ボスと呼ばれるものはこの相手のターン、自分のターンが素早く入れ替わり、ミスったとしてもリスクとリターンに落とし込めるため、納得しやすい傾向にある)

やはり僕と大体同じである。僕よりしっかりプレイしていて、偉いと思う。
以上を見てみると、僕と皆の感性自体は大きくずれがないものの、これが神ゲーであるかどうかはちょっと紙一重な気がしてきた。レビューのビューはこんなところで収めておこう。

消えた80%の人たち

プレイ時間を記載した通り、上記のレビューはコアゲーマーもコアゲーマー、上位層だけを切りぬいたものとなる。当然EDは全回収、トロコンだってしているかもしれない。ただ、それらは全体の20%ほどしかいないということを忘れてはいけない。残りの80%から60%は物言わぬ大衆、サイレントマジョリティーとして静かに沈んでおり、ここを呼び覚ますことがこの小見出しで行いたいことである。

とはいえ、ツイッターで「エルデンリング」「エルデン」「やめた」「投げた」とか、そういうキーワードをちまちま検索するのは面倒くさい。何か手法はないか、と思ったけれど、とりあえず思いつくまではツイートサーフィンに励もうと思う。一応、予想としては前述の不評部分とは違う、どちらかといえば難易度方面で投げてそうな気はする。

ちょっと調べた。素人調査なので全く信憑性がない話になるが、おおむね「難しさ」でプレイを辞めている印象を受けた。別ゲーの方がおもろ~wとか言って、FF14に行ってるタイプの人間もいるが、結局ちゃんとプレイは出来るが、敵の行動を避けて攻撃を与えて、という基本動作の要求値が高くてやめた、ということなのだろう。

高クリア率、もといゲームを最後まで遊んでもらうには

こうしてみると、高難度ながらもプレイヤーの挑戦意欲を掻き立てるシステムというのは価値の高いものなのだなあ、ということが分かる。
ただ、僕の所有するゲームのED到達率を見てみると、リディスーのSランクが27%、Hi-Fi Rushが33%、Inscryptionが45%……あれ?なんか低くねえ?

平均クリア率は41.8%、中央値は39.6%でした。クリア率が50%を超えているタイトルは40本中13本で、多くのゲームで、エンディングまでプレイしたユーザーは少数派になります。

https://game.girldoll.org/ps4-clear-proportion/ より

上の記事だとジャンルごとに大差はない、みたいなことが書いてあるが、うーん、どうなんだろう。

https://www.youtube.com/watch?v=0JZctIYhzsM&t=411s

ちょっと冷静になって、椅子の上で合掌してみる。ジャンル別に見た方が良い気がしてきたので、AUTOMATON様の動画を引っ張ってきた。
売り上げ上位15作のオープンワールドゲームのクリア率を見ているようで、うーん、これは30%ある方が偉いということなんだろう。ほな、ええか。
最初の方にある追記にも書いた通り、大抵3割しかクリアしてないし、ゲームを最後まで遊んでもらうための工夫は、どのゲームであっても欲している要素であることは間違いないといえる。
「星のカービィ ディスカバリー」なんかは難易度がワイルドモードとはるかぜモードに分かれていて、ワイルドモードはカービィの体力が低いし、敵の数も若干多くて、ちょっと難しい。さて、ワイルドモードでゲームオーバーになると「はるかぜモードに変えますか?」という提案が出る。難易度はゲーム中に設定画面から変更できるのに、である。
そう、ゲームをクリアできない人と言うのは色々なことに気付かない人なのだ。配慮が本当に必要な人は僕らの思考の外に居がち、ということだ。
そのゲームが提供したい面白さにもよるが、楽しく、無理のない範囲で、最後までゲームを遊ばせたい、という工夫はいくらでもして良いと思うのである。
ファイアーエムブレムの提供したい遊びは「てごわいシミュレーション」だけど、マルスが死ぬたびに「敵が一撃で倒せるモードに変えますか?」みたいな提案はしないでしょう、ということ。そういう提案をする前に、プレイヤーの中で基礎が出来ていないことを危惧して、3すくみの関係や、速さの差で追撃が出ること、やっつけ負けが起こる地形、のようなチュートリアルを用意すべき、という考えなんです。勿論、そういう間違いの原因に気付くことも面白さの一つだから、ここもゲームが提供したいものを考えてやるべきなんですけど。(実際、烈火の剣は難易度がノーマル/ハードの2種しかないし、てごわいシミュレーションをやらせたかったんだろう)
FEの話をするとエンゲージの話をしなくてはいけなくなるし、エンゲージの最高難易度が最高難易度だという話をすると20分は行動妨害不能になるのでここらへんでやめておこうと思う。

なんだか切り口を間違えたせいで包括的な話になってしまったなあ。

視点を変えて

このゲームの欠陥は他にないだろうか。レビューでも気付かない何かは。

ステージ構成の面はフロム側も周知させているとおり、よくできていたと思う。特に王都ローデイルの入り口は視線誘導の塊である。
①階段を下りて入口に辿り着くため、視線は下から上に行く
②行き止まり(崖)に気付き、とりあえずプレイヤーは止まる
③あたりを見渡すと、左の方に道がある(右は壁)
④ちなみに、③でもっと見渡すと大きい構造物に気付く(あそこがゴール)
十中八九、④まで気づくことのできる勘のいいガキはいないだろうが、①~③あたりはこじつけ感がない。まあいいだろう。王都を作った人と王都は良くできている。

オープンワールドゲーにおいて、こうした視線誘導やギミック・ボスなどでプレイヤーを無意識的に誘導していき、制作者側の意図した遊び方をしてもらう、ということは不可欠である。作品として、ここに重大な欠陥がある訳ではない、と言っておこう。

まとめ

5000文字も書いて疲れた。

飽きたのでまとめる。オープンワールドゲーは今まで通り攻略法を複数認めることでSNSと相性が良くなることがあるが、エルデンは攻略サイト見てもこのクリア率なので、コミュニティの活性化的な面以外では切り出せなさそうである。
高難度ゲームであることも、コミュニティが活発になる要因である気もする。これ出来んの~?みたいな。14の零式なんてまさにそうだし。

ということで、以下にざっくばらんに書く。

【なんで売れてんの?】
・単純に購入層が広い
①フロム初見ユーザーの購入が多い・リタイアしてもなぜか新作に集まってしまう
②コアユーザーも勿論買う
①、②ともに注目度の高さが生み出したものだが、これはゲームとSNSとの相性が良く、一部のコアユーザーが熱心にレビューを投稿し続けた結果とも言えるかもしれない。やはりレビューは注目度なんだろう。
フロムくんが熱心にマーケティングを行っていたかというと……草の根っぽく見えてしまうのは僕の浅さだろうか?

面白さについては言う事無いです。僕は面白くないと思ったし、面白くない要因も最初に書いた。良いところもあったけど、悪さが勝ったといえる。
プレイヤーが飽きるような作りになっていることと、想定しているゲームバランスが僕に刺さらなかったことが問題だと思う。

じゃあ、今回はこの辺で。次回からクリア率の話はしません。




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